第8章 File:8
膣内とは違った感触で絶頂に逝きそうで届かないもどかしさもある。それも無理矢理腰を押し付けて調整すれば自分の気持ち良いところに集中的に当てられた。
「、…くっ…あぁ!」
「んぐっ!」
突然口内に大量に吐き出された液体に驚きは咳込んだ。ドロドロとして生温かいそれをほとんど吐き出してしまったのを少し残念そうに眺める狡噛がいる。だがそれも目尻に涙のあとを残した彼女を見ればやりすぎたと後悔に変わった。の体を起こして優しく抱きしめる。汗が引いた体はまた冷えていた。
「悪かったよ。やりすぎた…」
は腕の中で首を横に振っていた。
「大丈夫です、狡噛さんが良ければ。」
腕を緩めてその顔を確認するとやはり無表情だった。最初は通じ合った心がもう離れていったように感じる。自業自得と言えばそうなのだが、どこかでこれぐらいやっても許してもらえるだろうと思っていた。
「そうじゃない…」
一人よがりで良い理由がない。
「お前も良くないと意味がないんだ。」
一緒に同じように感じたい。一体感が欲しい。他の誰にも感じることのできないものが欲しい。つまりは彼女の全てを。
「、もっとおいで。」
今度はもっと感じさせてみせるから。
「さっきのはちょっと…」
「もうしない。悪かったよ。気持ちよくするから、おいで。」
彼女の方から首の後ろへ回される腕。その細い腰を寄せるように抱き上げるとはいくらもない体重をかけて倒れかかり狡噛の上に重なった。さっきまで少し寂しさを感じていたのが嘘のように消えていく。それは彼女自ら求めるように重ねられた唇のせいだったり、そのあと彼を喜ばせる指先のせいだったりもした。