第7章 File:7
それをソファの上に置いて今度は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し半分程一気に飲む。間もなく戻ってきたにはソファの着替えを指差した。それだけで通じたようで彼女はそれを持って寝室へ入っていった。
「モズ、コーヒーと厚生省推薦ニュースを見せてくれ。」
モズは不機嫌そうに膨らみオートサーバーにコーヒーの準備をして、狡噛の前にニュースを掲示した。四つに別れた画面で事件や政治、エンタメ情報や天気予報が流れている。
《コーヒーカップをセットしてください。》
ニュースを見ながらオートサーバーにマグカップをセットすると黒い液体が注がれた。湯気の立つそれを取り出して一口含みながらニュースを眺めていると、画面の向こうからラフな服に着替えたが戻ってきた。モズはくるりと向きを変えて彼女に向かうとニュース画面も逆へと変わってしまう。
「おい、テレビはこっちだ。」
《さんも温かい飲み物はいかがですか?》
「おい。」
言うことを聞かないAIに苛立ちを見せる狡噛に気づいたのか彼女が傍に来てニュース画面も一緒についてきた。
「私はいらない。狡噛さんにテレビを見せてください。」
《承知しました!》
モズは張り切って狡噛の前をついていきながらニュースを展開し続けた。なんで人工知能なのにああも態度が違うのかとブツブツ文句を言いながらやっとソファに座る。推薦ニュース以外にも閲覧数急上昇の新規動画も上がってくるのだが、それには公安局員の犯罪係数悪化のため厚生施設に送られたことがコメント付きで流れていた。
その動画に関連して事件当時付近にいた人が撮影した川を流れる大きな羽の動画も掲載されていた。
ただそれだけのシュールなものだが汚染水の川なだけあってホログラムではない。そうなるとこの大きな羽はどれほど大きな鳥の翼から出たのかと、オカルトファンでコメントは盛り上がっていた。
「、お前人気だな。」
も横から動画を覗き込むが画面を流れるコメントの多さに目で処理がしきれず瞬きした。
「気をつけろよ、そのうち本当に狙われるかもしれないからな。」
「どうしてですか?」
「物珍しいんだろ。本物の鳥ですらなかなか見ることもないんだからな。」
「ふーん。まぁ、その時はその時で…」
「どうするんだ?」