第6章 File:6
2時間程買い物に勤しんだあと、車に荷物を置いて、一部の荷物だけ持ち直してまた美容室に戻ってきた。
「私たちだけで行きますから狡噛さんは待っててくださいね!」
「一体何が始まるんだ?」
ここまできたらもういいだろうと判断した花表は不敵に笑って今回のプランを発表する。
「突撃!陽名&翼のあなたもシンデレラ大作戦!」
「なんだそれ、どこに突撃してるんだ。」
「ちっ!」
ユーモアの通じない狡噛に花表はあからさまに舌打ちする。
天利は苦笑しながらもまあ待っててくださいと二人で店内へ消えていった。そして思いの外待たされた。夜風が冷たくなってきて身震いが起きる。もういっそ見に行ってしまおうかと思ったがここで入れば余計に怒られるかもしれない。
GPSで彼女らが店内にいることは確認できわけで逃げられるような心配もしていない。
狡噛は一度着信をいれておこうかとデバイスに触れた時だった。天利と花表が誰かの手を引いて出てきたところが目に入る。それが真新しい服に着替え、髪をきれいに手入れされただと気がつくまでにやや時間を要した。
「みてみて狡噛さん!」
「シンデレラ作戦大成功。」
「あ、あの…」
慣れない服装に終始戸惑う。
「ずいぶん変わるもんだな。似合ってるぞ。」
そう言うと顔を赤く染めて下を向いた。
天利と花表はその後でハイタッチして成功をすでに祝っている。が、この二人の外出はここまでだ。申請した帰宅時間が迫っている。
「さ、とっとと帰るぞ。」
「はーい。」
つまらなそうに口を尖らす天利だが大人しく飼い主の後ろを着いて歩いた。
花表は狡噛の隣へ行くとデバイスであるものを転送する。
隣で見ていたので自分にだと分かるとすぐに送られてきたデータを開いた。
それはホテルの高層階にあるレストランの予約明細だった。
人数は二人になっている。予約時間はまだ先だが執行官二人が出られる時間ではない。
「狡噛さんの名前で予約しました。ちゃんに美味しいご飯食べさせてください。」
「気持ちは有り難いが俺はまだ仕事が…」
「仕事は大丈夫ですよ!食べてから戻ってくればいいじゃないですか!」
和久にも許可済だと天利は言ったが本当かどうか確かめようとすればなぜか止められるのが怪しい。
だがどちらにせよ連絡は必須だ。