第6章 File:6
の相手は女子任せ、どこで保護するべきか、誰がサポートするのかなど課題は多いがやはり外部に委託することしか案は浮かばない。
刑事課も暇ではない。おまけに人員不足が深刻だ。一人に割く時間はそこまでない。それでも狡噛は佐々山が言った言葉を忘れられず、簡単に彼女を手放す訳にもいかないと思っていた。放っておくことはしたくない。
「狡噛さん、ちゃんの服ボロボロですよ。」
忙しいのになんなんだと気怠く振り向くと天利と花表がを囲んでいた。彼女の服はホログラムが解除されていて酷くボロボロな姿に様変わりしていた。羽軸が出たときに裂けたのだろう。
「新調しましょ、そうしましょ。」
花表は相変わらず突然変なことを言う。新調すると言っても誰がするのか。
「そうだね行こうよ!お買い物!ね、狡噛さん!私たちもう上がりの時間だしお願いします!」
「お供願います!!」
彼女らは便乗して自分らが外に出たいのだ。執行官の外出に同行するのも監視官の服務規定ではあるのだが。
「ん、狡噛君。お願いできますか?二人の監視役。」
上司に言われてはノーとは返せない。諦めもついてきた。
「仕方ないな。その代わり、二人での分も見立ててやってくれ。」
「イエッサー!」
天利と花表はすぐに官舎へ着替えに行った。
静かに座るは服をホログラムで覆うと膝を抱えて丸くなった。
先が心配なのは彼女の方だ。二人の執行官が必死に気を紛らわせているのもよく分かっている。
「狡噛さん一人で女のコたちは見きれないんじゃないですか?」
「俺は猟犬が逃げないように監視するだけだ。」
今回は猛禽類もいるが…。
天利や花表は逃げ出すような真似はしないと分かっている。問題はだ。だが執行官二人連れならもしもの時もどうにかなるかもしれない。
あまり考えても仕方ないか。そう落ち着いた頃に花表からメッセージが入った。
「、行くぞ。あいつら直接駐車場に来るらしい。」
執務室を出ようとする狡噛の少し後ろを着いていく。
行ってらっしゃいと和久の声が背後から聞こえた。
廊下の給湯室からはコーヒーを淹れに来たらしい佐々山がマグカップを持って出てくるところだった。
「お疲れさん。」
「おう。」