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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第6章 File:6


「笑った…」

「なんだ笑えば普通に可愛いじゃねえか!」

佐々山の言葉にはまた口を噤んで無表情に戻った。
なんとかもう一度笑わせようと宜野座に攻撃を仕掛けるも逆に怒られて護送車に戻れと言われている。
狡噛はもう少し佐々山のその業を見たいと思う反面悔しくもあった。自分の方が長く一緒にいたが彼女の笑うところは一度も見なかった。それどころか泣くか怒るか無ばかり。
護送車に押し込まれる佐々山を見送ると、着信が入った。今閉じ込められたばかりの佐々山からだ。

「なんだ。」

「狡噛、人は自分の心を映す鏡だ。」

「誰の言葉だ、お前じゃないだろ?」

「誰でもいい、とにかく、お前が笑わないからも笑わないんだよ。身体ばっか鍛えてないで少しは顔の筋肉も鍛えろ。」

それだけ告げると通話が切られた。
人は自分の心を映す鏡…そういうものか。狡噛は背後で通常通り無表情のを見た。ほとんど目は合わせてこない。
そもそも向こうはこっちを見てすらいないじゃないか。鏡なんて無理だ。向かせればいいのか、だが名前を呼んでもほとんど顔を向けないのも前からだ。

思案の末に狡噛は人差し指をの顎に沿えて上を向かせた。突然の事に彼女の目はとても驚いている。そして渾身の笑顔を作った。

「どうした、狡噛。顔が引きつってるぞ。」

一気に恥ずかしさがこみ上げたので中断する。そんなに引きつっていたのか。

「みろ、彼女がドン引きしている。」

は悪いものでも見たような顔で固まっていた。彼女の表情が自分を映したものだとしたら盛大に失敗している。

「顔芸で笑わせる気だったのか?だったらもっと…」

「違う!それ以上言うな!」


宜野座と狡噛の寸劇を見学しながらその捜査は無事に終了となる。
後で知ったが映像の改ざんは真流の仕業だった。一部始終を先に確認し、余計なところをカットして行動予測にて繋ぎ合わせたものを提示したらしい。もちろん元データの処分もぬかりもない。厚生施設に送られた局員には気の毒だが安全な社会の維持には必要だった。
管轄には公安局員としての職務の杜撰さが指摘され、今後の業務改善が求められた。
しかし再び行き場がなくなったはなぜかまた三係の執務室にいた。また振り出しだ。これからどうするべきかと狡噛は和久と相談する。

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