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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第6章 File:6


ゆらゆらと天に向かう紫煙と佐々山を眺めていると、その顔は近づいてきて耳元で囁く。

「羽根の事は上手く隠したな。」

その言葉にハッとしての眼光は瞬時に鋭くなった。

「狡噛から聞いてる、俺と征陸のとっつぁんだけな。あとのやつには秘密だから心配するな。」

佐々山は顔を離すともう一度煙を肺まで吸った。

「なぁ、お前さ、管轄のやつらと上手くやってなかったんだろ。」

は何も言えずにいた。狡噛のレイドジャケットを離して二人の監視官から少し離れる。
狡噛の心配そうな視線を感じるが「ここは佐々山に任せよう、女性の扱いは俺達より上だ。」と宜野座に説得させられていた。言っている本人ですら嫌味混じりだ。

「話すと色相が濁ると言われたので、出来る限り黙っていたんですけど…」

だんだんと俯き声が小さくなっていく彼女はただ落ち込んでいる普通の少女と変わらない。
確かに異質ではあるがまともな生き方をしてこなかったのだから仕方ないといえばそうだ。
佐々山は少女が悩み苦しむ姿は見ていられない。煙草を口に運ぶのも忘れてその切ない顔を眺めていると灰がすぐそこまで迫ってきていた。熱を感じて足元に落として踏みつけると宜野座から捨てるなと叱責が飛んできた。
そんなことは分かってるという風に拾って携帯用の灰皿に入れ直すと佐々山はの頭にごつごつした手をぽんと乗せた。

「今回はな、狡噛が悪いよ。お前はなんも悪くない。あいつが変なところに預けたりしなければこうはならなかった。」

それは本人にも聞こえてはいたが言い返す言葉もなかった。結果はすでにでているのだから。

「あいつは知らないんだよ、こういう場合あんたの身元が特定するまでにどういう扱いを受けるか。」

「どういうことだ?」

確かに知らない。ただ彼女の戸籍を取るところまではやってくれると言っていた。

「このお嬢さんがどこで寝泊まりしてるか知ってるか狡噛。拘置所に毛が生えたみたいなところだ。更生施設より酷い。」

この中で一番経験のある佐々山の言葉を二人は鵜呑みにせずにはいられない。騙されることも多いがこんなときに冗談を言う奴ではないことも分かっている。全員が口を噤んだ。

「お前は自分で面倒が見きれなくなって他所に押し付けたんだよ、その結果がこれだ。まだまだ甘いなぴよ噛。」
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