• テキストサイズ

BERKUT【PSYCHO-PASS】

第6章 File:6


その後は刑事課の手を離れた。
狡噛の調査報告から事件性がないと判断され、今後の処遇については他の管轄に委ねることになる。不本意ではあるが彼女の望みはこれで叶えてあげられる。

「、上手くやれよ。」

「…ありがとうございました。」

最後の日、は相変わらずの無表情で頭を下げた。それ以上話すこともせず、迎えに来たドローンに連れられあっさり三係の執務室を出ていった。その後ろ姿が見えなくなると、ほっとしたような、寂しいような複雑な気持ちが残った。

「お疲れ様でした、狡噛君。」

和久はいつものように微笑んだ。これでよかったんだと思いたい。何事もなく、日常が元に戻りますようにと。
だがそれからほんの数日のことだった。サイコパス規定値超過警報が作動し、現場の映像を見るとそこに居たのは公安局員の一人だった。付近でも発見され保護される。担当したのは一係だったので狡噛も宜野座から連絡を受けて駆けつけた。

「ギノ!状況は?」

息を切らせて駆け寄る狡噛に宜野座は状況をまとめたデータを送りそれを見ながら淡々と説明した。

「街頭スキャナで検知された規定値超過のサイコパスを叩き出したのは公安局員の一人だ。発見当時、彼女は訳のわからない事をひたすら訴えていてかなり重篤な様子だった。」

「訳のわからないこと?」

「化け物、あいつは化け物だ、と。」

狡噛の中で最悪の事態も過った。街頭スキャナは防犯カメラを備えている。あの姿が写ってしまったとしたら。

「その局員が言うには、例の少女の身体から突然羽根が飛び出してきたらしい。鳥の羽根だ。全く、馬鹿げている。」

「…そうだな。それで、そいつは本当に化け物になったのか?防犯カメラに映っただろ?」

「いや、それが全く映ってない。分析官に解析を頼んだが、妙なことに映像が修正された痕跡があった。」

「修正?誰かが先回りして改ざんしたのか…」

「今それも調べてもらってる。悪いが狡噛、彼女の事情聴取を頼めるか?何故だか俺と一言も口を聞こうとしないんだ。」

そう言って宜野座の示す方はビルとビルの隙間で、暗がりにドローンの放つ青い光が対象をうっすらと照らしていた。
ドローンは急かすようにして対象を明るみに追い出すと狡噛は溜息を吐いた。
/ 260ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp