第4章 File:4
試しに結婚相性診断をしてみる。シビュラが管理するシステムの一つで、結婚相手や恋人、他にも様々な相性診断が存在する。色相穏やかに過ごすための最適な相手を選んでくれるのだ。
はデータが少ないので反応するかも怪しいが試したところ相性は21%。彼女の自由さに振り回されて疲れるでしょう、と。今の状況にはまり過ぎて笑えてくる。
「あー全然だめだな。」
「これで嫁いでもらう線は無理だ。」
「おい、本気にするなよ。狡噛お前疲れ過ぎだ。」
佐々山に再びグラスを渡された。
溶けかけた氷がカランと音を立てて回る。黄金が綺麗だと思った。狡噛は最初より多く飲み込んだ。
今度は熱いだけでなく頭がぐらつく。疲れのせいか瞼も下がりかけた。
佐々山はグラスの中が空く前に次を注ぐ。
「おいおい、コウはあんまり慣れてないんだ、そのへんにしておけ。」
「とっつぁん、今日は許してやってくれないか?」
なあ狡噛と、佐々山は悪戯に笑いながら勧めてくる。これも交流の一環だと心の中で言い聞かせ一気に飲み干した。佐々山はより一層大きな声で笑っているが酔っているのだろうか。征陸はやや呆れているが仕方ないかと諦めため息を付いていた。
狡噛はじんわり体を覆う熱とくらくらした感覚が本当の酔だと理解する。意外と気分も悪くない。色相にも影響はなかった。なによりその一時だけは嫌な問題を忘れていられた。これが征陸の思惑とは違うものだとしてももうどうでもいいほどに。