第20章 楽園事件:11
本当は友人として頼ってほしかった。だが実際に頼られたら、本当に助けてあげられたのかどうかは分からない。瞼の奥で蘇る最後の彼の表情。何もかも押し殺して執念を貫くことを決めた強い目。それとは真逆だったあの時の自分ー。
次第に塞ぎ込んでいくように見える宜野座の肩にはそっと触れた。今は彼の気持ちが痛みに似た何かのように神経を伝ってくるのが分かった。
そうだ、彼のような身近な人の感情に気づければそれでいい。
「は優しいな。」
宜野座は肩に添えられるようにされた白い手を拾って引き寄せた。ゆっくりと体を寄せる彼女を膝に乗せて抱きしめる。腕に収まるほど小柄で細く弱々しい。だがふと見上げてくるアンバーの瞳の力は強かった。まるでその中に別の世界が広がっているのではないかと思うほど奥行きがあるように見える。それに引き寄せられるように顔を近づけて唇を合わせた。久しぶりの感触に気分が一新する。すぐ離れたかと思えば彼の舌がこじ開けるように入ってきた。僅かな隙間から吐息が漏れる。聞こえる度に舌は絡みついてきて欲情を誘う。息苦しさから胸を叩かれる前に宜野座は顔をゆっくり離した。力のなくなった彼女の瞳が意思を取り戻し始める。
「ねえ、ギノさん。」
「なんだ?」
「ギノさんは…どうして私に…」
言いかけて、止めた。何と聞くのが良いのだろう。考えている間に宜野座は答えようとしたが。
「さて…どうしてだろうな。」
困ったように微笑んでいた。
「は?」
「え?」
「嫌?」
「ううん。」
首を横に振ってみせるとまた困ったように微笑む。
「そうか。俺は…な。」
顔を寄せて額と額が合わさる。息はかかるほど近いのに唇が触れそうで触れない。
「欲しくてたまらない。」
吐く息が薄く開いた口に吸い込まれていく。まるで食い合うようなキスをしながら、彼の指先がフロントのスナップボタンを外して侵入してきた。迷わず膨らみを掴まれると、つい体が強張ってしまう。それを解すように口内でしたがゆっくりと動き、服の中の手はマッサージするように動く。気持ち良い。片手が両手になり、胸は覆われた。舌を吸われ、膨らみの先端はつまみ上げながら捏ねられる。何故か腰が動いてしまう。もっと下が熱くなる。体を小さく震わせていると、今度は耳の中に舌が入ってきた。