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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第19章 楽園事件:10


キッチン周りの最後の片付けにはいるはいつもと変わらないが、一人で出すことには抵抗がある。本当に大丈夫だろうか。いい大人だから大丈夫だと思うが、あまり人に関わって生きてこなかった分心配だ。
は余った食材等を袋にまとめて部屋を出る準備をした。

「今日はどうする?」

「刑事部屋を、お借りします。」

「…そうか。」

部屋で一人のほうが気が楽なのだろう。複雑だがそうかとしか言いようがない。今回選んだ学校は寮がある。決まれば彼女も寮に移るだろう。そうなれば執行官という首輪付きの宜野座には手の届かないところへ行く。

「出ましょう、ギノさん。もう申請した時間になります。」

言われるがままに部屋を出て、荷物を持つのを手伝い刑事部屋まで見送った。おやすみなさい、という彼女の声を閉じこめるように扉が閉まった。
今日は第二当直勤務だ。宜野座の一日はまだまだ長かった。



翌朝。晩もとくに何も起きず平和だったのは何よりで、朝食前に軽く運動して汗を流し、シャワーを浴びる。この流れは欠かさない。執務室へ戻るもとくにやることもない。霜月も時間を持て余して他係の報告書に目を通していた。こういう時間でなければゆっくり確認はできない。彼女は若いが監視官の素質は充分だと宜野座は思う。

「そういえば。」

「なんだ?」

「春の交通安全運動のPR依頼が広報から来てるんですけど、何ですか?」

何故一係にくるのか、という意味だろう。あいつのせいだ。
狡噛が全力でやりきってしまうからこっちに来るようになった。狡噛はもういないのだから他に回してほしい。

「前にいた執行官がこういうのを得意にしててな、それで来るようになったんだろ。」

「ええ!?宜野座さんなんとかしてくださいね。私そんなことまでやってられないですよ。」

「これも公安局の活動アピールの一つだ。監視官がそんなんじゃあ市民から不安がられるぞ。」

そういうとムスッとあからさまに期限を悪くする霜月。ころころ変わる少女の顔は見ていて飽きない。
が、その不満の顔に赤い警報ランプが点滅する。余計怒っているように見えた。エリアストレス上昇警報だった。

「ったく!こんな朝っぱらから誰よ濁らせるの。」

夜勤明けで疲れているのだろう、いつもよりイライラしている霜月を宥めながら出動する。

「場所は?」
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