第19章 楽園事件:10
「単純に醤油と砂糖の割合を変えたものや、そこに薬味を加えて混ぜたもの、砂糖の代わりに果汁を加えてみたものです。」
さらに余った野菜を軽く煮て、ディップ用にした。
様々な野菜をそれぞれのソースにつけて食してみる実食を始める。これは野菜でも合うとか、こっちは肉の方が良さそうだとかは頭の中でいろいろ想像しながら食べるものの、常守はどれも美味しいが果汁の入ったソースは意外に良かったなどあまりの参考にはならなかった。
ディップ用の野菜はあっという間にたいらげられる。
「ご馳走さまです。さんって器用なんですね。とても美味しかったですよ。」
はミネラルウォーターをごくごくと喉に流していた。
立て続けに醤油ベースは塩っぱくて喉が渇く。
「誰かがやってることを真似しただけです。」
割合は多少オリジナルでも混ぜるものはすでに誰かが試してネットに上げているものだった。それを行ったにすぎない。
「新しいことを始めるのは難しいですか、誰かがやってることで少し興味の持ったものがあれば学んでみようかと。」
「勉強熱心ですね。」
「殆どの人がもう勉強し終わったことを今更やってるだけですよ。」
「学校だと学びたいことはお構いなしい知識を詰め込まれるので、今のさんみたいに知りたいものを追求してる方が楽しそうで、少し羨ましいです。」
常守は食べ終わった皿をまとめて食洗機に入れてスイッチを入れた。それから余ったジュースをグラスに入れて飲んだ。
「そういえば、宜野座さんから聞いてるかもしれないんですが、職業訓練校の案内を持ってきました。」
常守は資料を開いてに向ける。
校舎の写真が二つある。片方は通常教育でもう片方は通信教育だった。通常の職業訓練の場合は転入になる。通信は主に働く人向けの制度なので転職を考える成人向け。どちらを選ぶかもサイコパス診断の材料になってくる。
「通う方だと学制からそのまま継続している若い子が多いですけど、ある意味刺激的でいいかもしれません。通信は考査以外に集まることがほとんどないので、やっぱり人と合うのが苦手ならこちらも良いかもしれません。」
は常守の説明を聞きながら資料データをフリックする。