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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第18章 楽園事件:9


「それ、見せてください。」

が裏側から画像を指差しているのでフリックして反転させる。執行官権限で閲覧できる資料だが写真だけなら問題ないと判断する。

「ここはもう閉店したそうだ。」

「ん!ここですよ、私が行ったの。」

頬張るおかずが見えないように口元を抑えながらが言う。ハイパーオーツ以外を口にするというのは父の時代にはあったものの経験したことはない。しかも食せば色相が濁るという固定観念もある。このこともあって狡噛は濁らせたのだろうか。そもそも食材で、しかも食べるだけで濁らせるものなんてあるのだろうか。

「美味しかったんだよな?」

「はい。とても。ハイパーオーツって手をかければあそこまで美味しくなるんですね。」

「…まぁ、そうだな。」

閲覧に権限のある事案のため口には出せない。あそこで出していたのはハイパーオーツではないなんて。

「そのうち家庭用のサーバーにだって慣れるさ。」

「そうですかね?」

は綺麗に食べて入るもののどこか味気ないといった表情のままだ。

「ギノさん、私がお料理したら食べてくれますか?」

唐突な提案に一瞬驚くものの手料理なんてしばらく食べていない。不安はあるが気持ちは嬉しかった。

「もちろん、最初に食べさせてくれ。」

そう言うとは柔らかく微笑んだ。普通の女性に見えてどこか安心する。

「常守さんならお料理知ってるかな…」

「っ!ゲフっ!ゴホっ!」

詰まらせたように咳き込む宜野座。常守の腕前は知っていた。まるで殺人目的なのではと思うほどの破壊力抜群な味のものを作ったこと。ついでにそれを美味いと食べていた味オンチの親友のことも。

「常守はやめておけ。あの人は…ほら、忙しいからな。」

「そうですね。自分で勉強します。」

「それがいい。」



食後、少し休んでから先にがシャワーを浴びる。その間に今日の彼女の様子を常守に報告した。


「えっ。完全記憶ができるんですか?さん。」

端末越しに驚きの声を上げる常守。

「あぁ、俺も流石に嘘なんじゃないかと思ったが確かに頭に入ってる。これなら学校は通わなくても職業訓練に進めるだろう。」

「職業訓練も通うのと、通信制ならどちらが良いですかね?今私も悩んでました。」
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