第18章 楽園事件:9
「でも過半数が美味しいと感じるものもありますよね?」
「具体的にどんなものだ?」
「昔、狡噛さんに連れて行ってもらったレストランで食べたお料理で…」
具体的に何を食べたのか思いだそうとしても、なかなか思い出せない。
「何が一番美味しかった?」
「それが…」
確かあの時も狡噛に聞いた。
(これ、凄く美味しいです!これなんですか?)
(わからん!わからんがうまいな!)
「って感じで…」
「お前らよくわけもわからん物をそうやって食ってられるな。」
「その時は美味しいからいいかって思っちゃったんですよね。」
無表情でおかずを頬張るを見ていると、その料理がどれほど美味しかったのかは気になるところ。そういえば皆で刑事部屋に集まった時も彼女は食べ物に興味を示さなかった。
「どこのレストランに行ったんだ?」
今もあるならぜひ連れていって、喜ぶ顔が見てみたいが。
「名前は分からないですけど、高いビルの高層階にあって、窓が大きくて遠くまで見通せるレストランでした。花表さんのツテで予約できたようでしたから、とても人気があったのだと思います。」
宜野座はデバイスで当時人気を博したレストランを検索すると、意外な物が出てくる。それは当時の事件の記録だ。ハイパーオーツではなく、無断で天然食材を使った料理を提供していたレストランが見つかったというものだった。とても賑わいを見せていたレストランでファンも多かったという。尚、この事件は公表はされていない。事実を知って利用していた人たちの色相が濁っては困るからだ。