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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第16章 楽園事件:7


するとドローンがスキャンしたところから行方不明者のデータが次々と出てきた。

「まさか…!唐之杜さん、建築用のドローンを手配できますか?」

「なぁに?また地下鉄掘るの?」

「瓦礫に行方不明者が全員生き埋めになってるかもしれません!」

「え!?ちょっとまって…探してみるから。」

常守は自分でも出来る限り瓦礫を避けた。だが小さな石ばかりじゃない。とても人が持ち上げられないものもある。それでもできることをやりたかった。

「誰か!誰か聞こえますか!!今助けます!」

生きているかは分からない。普通の人でいるかも分からない。それでも彼女の正義がそうさせた。
その後に建築用の作業ドローンが何台か到着し、瓦礫の撤去作業が始まった。地下空間までたどり着くのに機械を頼っても数時間はかかった。

一方付近の市民のサイコパス浄化のために励む霜月らは爆発音についてを古い建物の撤去作業のためと説明し宥めていた。距離があったので、エリアストレスの上昇も一時的なもので済んだ。現場に近寄ろうとする人間はいないと思うが念の為、規制線も張った。それから常守のいる爆発があった現場へ向かう。ドローンによる瓦礫撤去作業が続いていた。
霜月が常守に駆け寄る。

「エリアストレスは解除されました。こちらは?」

「地下に人がいた可能性があるので救助のために瓦礫を撤去させていました。でも…」

常守が視線を逸らした…がその先に黒いシートがあった。
恐らく遺体だ。霜月は息を飲んだ。

「最初に見つけたのは行方不明者の一人でした。身元の確認がとれています。首に噛み傷があり、出血が多かったのでそっちが致命傷になったと見ています。」

「じゃあこの下は…獣の巣窟なんでしょうか?」

「その可能性もあります。」


数時間かけて最下層まで進んだが生存者は結局出なかった。
ゴロゴロ出てくる遺体は行方不明者の捜索願が出ている人数の倍はいた。全員に噛まれた跡や争った形跡があることから全て阿頼耶が手を施した人たちとされた。一部の人間には体の変化も見られた。歯が全て尖っていたり、爪が鉤爪状になっていたりした。捜索願を出した家族には彼らが爆発に巻き込まれて亡くなったことは伝えずに、ただ倒れているところを発見し亡くなっていたと伝えられる。家族の色相を守るためだ。本当の事すら伝えられない。
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