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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第15章 楽園事件:6


なぜこんなことが起きているだろう。が見たらどう思うだろう。このままを見せて良いのかまだ迷う。

「常守監視官が至急こちらに向ってくるそうです。宜野座さんにさんの捜索をしてほしいと言っていました。」

思わず溜息が出てしまう。捜索だって…?どこにいるかまるで見当がつかない。だが命令だ、やるしかない。

「唐之杜、街の防犯カメラにはかかってないか?」

デバイス越しに唐之杜が嘆いている。彼女を探すのは簡単ではない。探したがやはりどこにも映っていない。仕方なくドローンの捜索に頼る。オフラインの所でも画像認証のみで捜索できるようにした。その間に鑑識ドローンが現場を隅々動き回り、くまなく調べ始めた。
小さな虫のような機械がチリ一つ見逃すまいと丁寧に周りの物を収集している。
と、宜野座のデバイスに常守から連絡が入る。

「どうした?」

「公安局を出た所でさんに会いました。亮一くんが帰ってこないって…」

「……。」

「一緒に向かいます。」

「分かった。」

デバイスのGPSを頼って自ら来たのだろう。思ったより早い合流となった。まだ、あのシートの下を見せるのを戸惑う。付近の見回りに行っていた六合塚が戻ってきた。周辺に不審な人物や物は見当たらないらしい。血の靴跡もすこしだけ残っていて向きから予測して辿ったが何もなかった。
これまでの連続傷害事件はいずれも街頭スキャナについた防犯カメラに捉えられて発覚していた。だが今度はカメラが周りに無い。もしかすると気が付かないところで他にも起きている事件かもしれない。ただ一つ言えるのは把握している関連事件のどの被害者より今回は遺体の損傷が激しい。まるで寄って集って食われたようだ。噛みつかれているから傷口に残るほんのわずかな唾液で誰がやったのかくらい分かるだろう。ああ何故だろう。彼は体質こそ狼という異質なものを持っているが気の良いやつだった。ダイムを一緒に散歩させたことがまだ記憶に新しい。今度また会わせたらダイムの通訳を頼みたかった。何故彼がこんな無惨な最後でなければいけないのだろう。考えるだけでも怒りが込み上がる。拳を握ると革の手袋がぎゅっと鳴った。
それから間もなくしてサイレンの音が近づいてきて常守の車が到着した。
飛び出すように降りてくる二人の小柄な女子。
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