第2章 File:2
「六花…!六花…ああああ!」
佐々山は狂ったように向かってくる少女の姿にニヤリと笑う。その後ろにいた一係監視官の宜野座は何事かと状況を把握できずにいたが、佐々山が足を肩幅に開いて受け止める姿勢をしたので少女を止めるのだとわかった。
はスピードを落とせずにそのまま佐々山に突っ込んでいき、反動で二人とも倒れたように見えたが佐々山がすぐに彼女を組敷いていた。
その姿に狡噛も宜野座も嫌悪する。
「女のシツケもしらないのかよぴよ噛。」
「なにしてる!佐々山!離れろ!」
宜野座は困惑してその場で怒鳴るだけだった。
は佐々山の異様な表情に瞳孔が開いていた。
「おい!そこまでだ!」
追いついた狡噛はから佐々山を引き剥がした。
彼女のシャツが乱れているのを見ると半ば強引に掴まれたかもしれない。
はまだ驚いた顔で硬直していた。
「なんだよ、もう少し遊んでやろうと思ったのに、ねぇ?」
佐々山は悪戯にに笑いかける。
狡噛は呆れながらも引き止めてくれたことには礼をした。
宜野座が狡噛に寄って事情を聞いていると、廃棄区画の住人を家で保護していることに一層驚いていた。
「なんだよ、隅に置けねぇなお前も。」
「どういう意味だ。」
「公安局のエリート監視官様がおうちで未成年の売春ときちゃあシビュラ様々ってか?」
「ば、なんだと!!」
聞いている宜野座が顔を赤くして狡噛を睨みつけた。
「狡噛!貴様そんなことを!」
「やってない!誤解をうむだろ佐々山。」
「なんだと!佐々山!また騙したのか!!」
三人がひと悶着起こしている間にゆっくりと追いついた和久は天利と昏田に執務室に戻るよう伝えた。
「狡噛君!さんを放ってはいけませんよ?」
和久の言葉に狡噛だけは返事したが宜野座は未だ佐々山をガミガミと怒っていた。
それから床にへたりこむの腕を引き、肩を支えて立たせた。
「大丈夫か?」
「あ…あの…」
ようやく静まっているに向かって佐々山は猛獣が吠えるような真似をすると驚いて狡噛の懐に隠れようとした。
「やめろ、佐々山。怖がってるだろう。」
「はいはい、すみませんね。」