第14章 楽園事件:5
着いた先は近頃話題のレストランだった。バイキング形式で野菜を豊富に使った惣菜が人気だ。
ここは常守も同行して三人で食べることに。まるで学生食堂のような開放的な空間。テーブルはパイン材。広いカフェようでもある。四角いテーブル三辺をそれぞれが座る。宜野座と常守はコートを脱いだがは着たままだ。フードも被ったまま。
「食事の時ぐらい上着は脱いだらどうだ。」
着ていることが気に入らないといった言い方とは思った。仕方なくコートを脱いで椅子にかける。サイズの大きい白いトレーナーを着ていた。ダボついた上に対して細身の黒いパンツがより彼女を華奢に見せる。
「常守より細いな…」
それに過剰に反応したのはではなく常守だった。
最近少し太ったらしい。宜野座は決して常守が太ったと思ったわけではないのだが。
一先ず三人は料理の並ぶ所へ行きプレートを持って吟味する。洋食も和食もある。悩む。健康を考えたメニューを選ぶか、それとも好きなものを取るべきか。宜野座とが迷っている中、常守はサクサク選んでいく。
「美味しそうですね、早く食べましょう〜」
最後にデザートまで取って言う。さすがは女子だと宜野座は思った。それを言うとこの目の前の白い女はなんなのだろう。だが思い立ったのかプレートに乗せ始めた。あまり心配しなくても大丈夫か。宜野座は自分のプレートに乗せるものだけを考えることにした。
野菜、肉や魚、主食、デザートの順に通る。しかしなぜこう最後の方にはごはんのそばにカレーがあって更にうどんが置いてあるのだろう。これを見ると嫌な思い出が蘇る。
あの眼鏡に飛び散る汁ときたら…。宜野座がカレー鍋の前で止まっているとが食べたいなら食べたらいいと言ってきた。
「いや、食べたいわけじゃないんだ…。狡噛がよく汁を飛ばしてきたな…と。」
「あぁ、あれ酷いですよね。汁が何故か追ってきますし。」
「お前もわかるか!」
あれは本当に酷かった。言っても言っても直さないと宜野座はくどくど語りだした。少し鬱陶しさを感じは先に席につく。だがくどくど言うやつも追ってやってきた。にとっては宜野座も歩くうどんの汁だった。
「まぁまぁその辺にして…いただきます!」
常守が止めて食事を始めたおかげで話はそこで終わった。