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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第14章 楽園事件:5


は空を滑空して近くの廃棄区画にあるビルの上に降り立った。公安局のビルの屋上からは余裕でたどり着ける。滑空なら変異は翼や尾羽だけで済むし楽だ。ただし背中と胸は異常に疲れる。人の筋肉ではやはり動かせない。姿勢を保つだけで精一杯。

街は夜だ。ネオンが彩るのを遠く眺める。阿頼耶は今、どこにいるだろう。街をぐるりと見渡しても見つからない。見つかるわけはない。彼の理想とする楽園とはどこにどのように築くものだろうか。

それから数日、手がかりなく追いかける日々を過ごした。亮一は戻るとデバイスを渡されていた。それで宜野座や常守と連絡を取り合っている。彼らも足取りは掴めていない。無闇に動いても消耗するし、公安局は他にも仕事がある。阿頼耶確保だけに集中できるわけではなかった。

「極端に静かだよな。」

亮一がポツリという。彼はよくデバイスを見ていた。
確かに静かすぎる。いつもなら街中動き回っているうちに見つけられた。それができなくなった。動いていないか、気が付かれずに動いているのか。

「阿頼耶が楽園を作るなら、その住人はどんな人たちだと思う?」

が問う。亮一はデバイスのボタンをあちこち触っていた。

「そりゃあ俺たちみたいな次世代の人類だって本人が言ってなかったっけ?」

「その私たちみたいにするならどんな人を選ぶと思う?」

「無戸籍者じゃないの?俺らみたいな…」

「私達みたいな…」

無戸籍で行き場のなかった子供。自虐的だが自分らはその部類だ。居なくなろうと不思議ではない対象。だがそういう子どもたちは実験で集め過ぎた。もしかすると次を試すのではないだろうか。
無戸籍であるということはだいたい潜在犯。潜在犯認定を受ければ普通は矯正施設へ行く。

「矯正施設!探そう、とくに子供が多いところ。」

だが矯正施設は沢山ある。セキュリティも厳重。

「はぁ?阿頼耶がそんなところ入れば防犯カメラですぐバレるはずだろ。」

「阿頼耶が入らなければ…?」

「うっ…探すったって俺たちがそんなとこ行けば二人とも檻に入れられて終わりだって。」

「バカじゃないの。なんのために公安局と手を組んでるの。」

「…あ〜!」

早く連絡しろとは視線をデバイスに顎でやれと命じた。リョウはすぐに常守に連絡する。デバイスから常守の画像が映し出される。
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