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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第13章 楽園事件:4


いずれにせよ随分と前の話だ。
常守は頬を冷やすかのようにパタパタと叩いた。
唐之杜がタバコの煙を細く吐き出す。

「ま、慎也くんだって若い頃があったのよ。」

「そ、そうですよね。若気の至りって言いますもんね。」

「いや、保護対象だったんだ。絶対駄目だろ。」

「宜野座くんもそろそろ卒業した方がいいんじゃない?なんなら私が手伝うけど。」

「卒業?なんの話だ?」

これには六合塚が小さく笑っていた。
唐之杜も呆れてそれ以上深くは言わなかった。宜野座だけ疑問が残るが何度聞こうとも詳細は教えてもらえなかった。
結局その後も親睦会のように振る舞うつもりが、狡噛を惜しむ会のようになってしまった。と常守は互いに知らない彼の部分を知りることになり、宜野座は思い出の修復になった。

「狡噛さん、今頃どうしてるでしょうね?」

「知らん!あんなやつ!今度会ったらぶん殴ってやる!」

宜野座は酒に呑まれて荒れ気味だった。は二口ほど口をつけたら具合が悪いとすべて亮一に押し付け、亮一はもう少し飲んだがやはり気分が悪いとソファでだらけていた。

「!亮一!お前ら二人でグラス一つまだ空けられないのか!」

「ギノさん、頭痛いから大きな声出さないでください。」

「う、すまん…」

「本当にお酒弱いんですね…」

常守は虚ろ目で意識朦朧としている二人を上から覗き込む。

「そういう朱ちゃんは全然変わらないな…」

「うん、私鈍感だからかな。」

「関係ないって。体質だよ体質。つーか宜野座さんはもう飲まないほうがいいって。」

「俺はまだ大丈夫だ!」

酒瓶片手に立ち上がる宜野座はそれを直接口につけた。残り少ないからというのもあるだろうが一気に流し込む。空になった瓶はテーブルに置かれた。常守が関心して見上げていると間もなく彼は口に手を当てて個室に逃げ込む。トイレだ。

「全然大丈夫じゃねえじゃん!」

「もしかしたらさんにいいとこ見せたかったのかも。」

宜野座は狡噛から資料を引き継いだからにはなんとか解決に導きたいと思っていただろう。そのためにまずは自分を頼ってもらえるような気さくな振る舞いをとったのかもしれない。

「残念だな、は入れ違いで落ちたぞ。」

「え…」

亮一の向こう側には上半身だけソファで横になる白の姿が。
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