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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第12章 楽園事件:3


亮一はビルとビルの隙間を飛び越えて廃墟に消えた。公安局を引き寄せて、武装集団に接触させる。とくに話合ってはいないがそれが作戦だ。その間には阿頼耶の捜索を続ける。あの屈強な集団に足止めを任せるなら反対へ向かうはずだ。だがなぜあんな物騒な奴等を使っているのかが分からない。阿頼耶は研究者だ。そしても亮一も彼の結果の塊だ。壊そうとは思っていないはず。
その時、着信が入った。非通知だった。宜野座でないことはすぐに分かった。だからすぐに出た。

「誰?」

「…」

デバイスの向こうからは聞き慣れた声が聞こえる。
阿頼耶だ。

「亮一をすぐに引かせてくれ。巻き込まれたら危ない。」

はすぐに駆け出した。あの武装した奴等は最初から公安局狙いだと確信した。亮一の姿は人には脅威になる。公安局と奴等を接触させるだけでも戦闘に巻き込まれるかもしれない。GPSで公安局の位置を確認するが二手に別れていて亮一がどちらに向かっているかまでは分からない。仕方なく翼を広げた。伸びる腕は指先が変形して大きな羽軸が飛び出す。デバイスは腕を離れた。翼が完全に広がると小さなビルからはみ出すほど大きい。靴を脱ぐと直ぐに脚も細くなり踵から先が伸びて鋭い爪が生えた。ワンピースの裾から尾羽が生え、頭も次第に羽毛に覆われ、両顎が突き出し嘴へと変わる。ワンピースの襟元は裂けた。翼を一度動かすとそれに耐えきれず胴部分も布が裂けた。
大きな翼を羽ばたかせ旋風を巻き起こして空へ舞い上がる。高く、高く。見下ろす廃墟群は小さくなった。それでも細い路地を行く人の姿は見えていた。その中に大きな犬が交じっている。間もなく常守班とぶつかるところだった。その後ろには武装した男が数人いる。は甲高く笛のような声で一声鳴いた。亮一はそれに気がついた。常守もその声に反応を見せる。彼女の位置からは遥か上空のは見えない。
声に気を取られていると角を曲がってきた大きな犬とぶつかりそうになり驚いた。それは常守を軽く飛び越えていく。と、同時に発砲音。常守はドローンを盾にビルの角に再び潜む。六合塚が先導してドミネーターを放った。常守はまだこの大きな犬から目が離せなかった。奴は威嚇するわけでもなく、ただじっと見てくる。デバイスでスキャンすると狼だった。の仲間だ。
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