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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第11章 楽園事件:2


センセイは身寄りのない子供、または育てきれず手放したい親から子供を片っ端から引き取り、育てていた。傍から見れば慈善事業、堅実な男。だがそこの子供らは最低限の食事に、パイプのベッドにトイレが付いていただけの狭い部屋での暮らしだったという。どうやら拘置所を再利用していたらしい。その小さな部屋にたいてい二人の子供が生活していた。は同じ部屋で、二つ年下の妹六花と暮らしていた。二人とも体が悪いから治療のために母親から預かったと聞いて育った。だが一向に治療は終わらないし母親は迎えにこない。疑問に思ったはセンセイに何度もそのことに付いて話したが取り合ってはもらえなかった。その間に体に異変が起き始める。背中に小さな羽根が生え出した。それを見てセンセイは喜んだ。とても喜んでいた。長く一緒にいる彼が特別な笑顔になったことには疑問に感じた。だが同じことが妹にも表れると彼女はセンセイが喜んでくれたのが嬉しいと言っていた。六花はセンセイのことが好きだった。その事に対してもとやかく言ったりはしなかったが、気をつけるべき人物だとは思い始めていた。治療の間は全身麻酔で眠らされ、起きると部屋にいるので何をされているかまでは分からなかった。月に数回の治療は体に異変が起きるのだから何かしているのは明白。
やがての眼球にも変化が表れた。センセイはまた喜んでいた。上手くいった、と。治療は順調だと言った。その頃は肉体的にも精神的にも大人とほぼ同程度に成長していた。同じ建物で暮らす子供たちの中では一番年長らしい。
はある時誰もいない部屋に入れられた。ご褒美があるから特別だと言われた。確かにいつもの部屋より明るくて、綺麗で、ベットは大きくてシーツも洗いたてに見えた。誰の部屋かは分からない。大きなテーブルもある。たくさんご馳走が乗りそうだ。六花にもこっそり持っていけるだろうかと考えていた時だった。数人の男が部屋に入ってきた。見たことはある。食事を持ってきてくれたり、身の回りの世話をしてくれる人だった。確か三人だったか。大勢で食事をするのかと思ったがそこからは地獄だった。食べられたのはの方だった。次から次に押し寄せる痛みにひたすら耐え忍んだがどこかで気を失った。
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