第11章 楽園事件:2
「仲間とは、その…さんと同じような化身する人間のことですか?」
思い切った発言をしたものだと宜野座は常守を関心する。
「そう、私と同じような怪物。」
も躊躇することなく答えるが、まるで常守の出方を待っているようでもあった。
「でも人に危害は加えない。自分自身をコントロールできる奴しか残っていない。」
「それは、そういう方は具体的に何人ですか?」
「私を含めて二人。」
「さっき自分自身をコントロールできる奴しか残っていないと言っていたけど、コントロールできない人たちもいたの?」
「いた。皆死んだ。」
常守は自分の知らないところで感知しきれない不思議なことが起きていることにゾッとした。それはにも読み取られただろう。少しずつ敵意を感じなくなった。
はベッドを降りて常守の前へ行く。背丈は常守の方が少し高い。細くて真っ白なは何か野生的な威厳もあった。
「これ以上犠牲は出させない。公安局に迷惑をかける気もない。これは私たちが片付ける。」
は鼻先が着きそうなほどの距離で睨みつけてきた。獲物に狙いを定めたかのような鋭い瞳に足が竦む。
しかしこれで引かないのが常守朱。
「いいえ、我々の目についたからにはこちらも引けません。そちらが二人しかいないなら尚更です。ここは協力関係を結び事件を解決しましょう。…って実は局長にもそう報告しちゃって…。」
と最後には戯けてみせた。コロコロと表情を変えた常守にもどうしたら良いかわからないといった感じだ。
常守が局長と話し合った内容は、協力関係を結ぶ代わりに彼女のような変わった人間を隔離することはしないこと。位置情報は常に公安局で感知し、色相診断ができないので心拍数で心理状態を把握できるようにすること。その特性を活かして公安局からの要請があれば捜査協力すること。まるで首輪のない執行官だ。
「そちらの指示には従えない。こっちにはこっちのやりかたがある。知っていることは教えるけどそれ以上の協力はしない。」
「、状況は悪くないんだぞ。まさかここまで承諾がえられるとは俺も思ってもみなかった。自由に生きるチャンスじゃないか。」
宜野座は良かれと思って言ったつもりがの機嫌をさらに損ねた。