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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第2章 File:2


はソファに座るとまた窓の外に目をやった。
ここは空が遠くまで見える。 
今日の天気は晴れ。パウダーブルーの空に白い雲が泳いで見えた。
この良い天気に似つかわない疲れきった顔が窓ガラスに映る。手は小刻みに震えてうまく動かすこともできない。
モズに言わせれば血糖値の低下が原因だという。 空腹を通り越してお腹はもう鳴らない。あとどれくらいこうしていれば死は迎えにくるのだろう。死の淵は見えそうで見えない。
はソファにゆっくりと横になった。




出勤した狡噛はデスクにつくなり征陸からの様子を問われた。未成年を一人預かっているのだから気になるのも仕方ないだろう。

「どうもこうもない。飯は食わないし水も飲まないんだ。」

だから今朝は無理矢理口に突っ込んできて手がかかったことまで説明すると征陸は頭を抱えた。
その様子からやはり行き過ぎた行動だったかと不安になった。だが、何も摂取しなければ人の体の機能は停止する。彼女が餓死を目論んでいることを思い出した。


「摂食障害とかになってなきゃいいけどな。無理矢理口に入れた所で全部吐き出しちまうよ。お嬢ちゃんがお前に無理矢理飲まされた後の様子に何か変わりはなかったか?」

「…口に入れたのを見てすぐ出てきたからな。そういえばちゃんと飲み込んだかまでは確認しなかった。」


二人は盛大に溜息を吐いた。
狡噛は自分の詰めの甘さにがっかりしていた。


「彼女が何も摂取しなくなってからどれくらい経ちますか?」


静かにそれを聞いていた和久が狡噛に問う。狡噛はの資料をもう一度見直した。最初に保護したのは3日前の夕方頃。


「最低でも65時間です。」


「あぁ〜そいつはマズいな。」


そろそろ限界だと征陸が言った矢先に狡噛に緊急性の高いメッセージが入った。モズからだった。
彼女の緊急時は連絡が入るよう設定されていた。

《さんに不整脈が見られます。呼吸障害を伴っているため救急車を要請しました。》 

メッセージを聞きながら慌てる狡噛に和久はすぐに行くように指示した。

「すみません、すぐに戻ります。」

脱いだばかりのジャケットもそのままに狡噛は車へ急いだ。


「狡噛くんもなかなか大変ですね。」

「子供をもつ親の気分だろうな。」

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