第16章 :*・゚* くちびるにスミレ *・゚・。*:
特に、この双眸が瓜二つだった。
「んじゃあ俺はそろそろ飯の準備に取りかかってくっからよ、星乃はしばらく骨休めしとけよォ」
よっと。
気張るような声を出し、上体を正した実弥が立ち上がる。
「え、まって、それなら私も手伝う···きゃ」
「っおい」
慌てて実弥に続こうとした星乃は芯が抜けたようにくたくたとその場によろめいてしまった。
「なんだなんだァ···へろっへろじゃねぇかァ」
「た、立てない」
「無理すんじゃねぇ寝とけェ。今晩はお前も任務があるっていうし、足腰立たねぇようじゃァまずいだろうが」
日々鍛えているはずなのになぜ······。
実弥に腕を支えられながら、星乃は一瞬愕然とした。
しかしながら、考えてみれば実弥はさらにその上をゆく鍛えかたをしているのだから同等なわけがない。
納得すると、再び全身からどっと力が抜けてゆく。
「実弥があんな風に······激しくするから」
眉を下げ、星乃は恨めしそうな顔で実弥を見つめた。
「んな顔すんじゃァねぇよ······そりゃあ、抑えがきかなくなっちまったこたァ悪かったと思うが」
「···思うが?」
「こいつを機に言っておくが、この先も手加減してやれねぇ日はあるからなァ。そこは覚悟しとけよォ」
「っ、!」
「なんなら今からもういっぺんしたっていいんだぜェ、俺ァ」
「~~~っ」
実弥の飄々とした物言いに、星乃は顔を赤くしながら口をぱくぱくさせることしかできなかった。
実弥と恋仲になってからというもの、特に営みに関しては実弥のほうが一枚上手 (うわて) なことが多くて心臓が忙しい。
「湯浴みはどうする? 必要ならついでにその準備もしてくるが」
「あ···そうね。少しさっぱりしたいかも···」