第10章 【KoC】I FOR YOU…2【金城剛士】
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和南side
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「カズ、どういうこと?」
「ごめん、倫毘沙。少し目を離した隙に」
「言い訳なんて聞きたくないね。」
倫毘沙は俺のすぐ横の壁を殴りつけた。
そんなことに動じる俺ではないが。
真っ直ぐ彼の目を見つめる。
「ゆかりは俺の婚約者なのに…」
「親同士が決めた…ね。しかも、18になるまでゆかりは知らない。」
自嘲するように呟く俺を、倫毘沙は鋭いアクアマリンの瞳で射抜いた。
「まさかとは思うけど。カズがこうなるように仕向けたの?」
「まさか。俺だって、あんな腐れ狼、嫌いだよ。」
獅子堂ヘッド、金城剛士の凛とした横顔を思い出し、腹の底からイライラした。
俺は倫毘沙のことだって、本当は気に入っていないけど。
でもゆかりの伴侶としては申し分ないと思っていた。
俺の家も結構大きな家だけど、倫毘沙の家はレベルが違う。
財閥の跡取り。
ゆかりを幸せにしてくれると思って、2人のことを応援してきたのに…
「獅子堂のヘッド…許せないな。」
憎悪の篭ったような、倫毘沙の言葉を聞いて、俺は背中に冷や汗が垂れるのを感じた。
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主人公side
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晴れて両思いになった私たち。
わたしは嬉嬉として家路についた。
帰ったらお兄ちゃんに報告しなくちゃ。
パパにバレるとうるさそうだから、まだ両親には秘密にしよう…
「たっだいまー。」
ドアを開けると、玄関に仁王立ちで和南お兄ちゃんが立っていたのだった。
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今日、駅前で一緒にいた所を、トモくんに目撃されてしまったらしい。今、わたしはお兄ちゃんのお部屋で、めちゃくちゃお説教食らっている。
「ゆかり、俺たちの高校知ってるよね?」
「うん、鳳凰学園…」
わたしは中高一貫の女子校に通っているが、和南お兄ちゃんとトモくんは渋谷にある名門高校に通っている。
「俺たちが見回りをしているのは…獅子堂高校という、同じ渋谷にある不良高校の奴らを取り締まるためなんだ。」