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【短編集】夢路【B-project】

第9章 【KoC】I FOR YOU 【金城剛士】


それから、バイトの日は金城さんが必ずランチセットを買いに来てくれるようになった。わたしもバイトの日は、きちんとマスカラをつけてり前髪を巻くようになった。お兄ちゃんや同僚の視線を感じたけど、気付かないふりをした。金城さんは、バイトのあとは必ず待ち合わせて、駅まで送ってくれた。

そんな毎日が続いたある日。その日は、寒い日で、イルミネーションがチカチカ灯る、クリスマスシーズンの12月だった。夕方で、イルミネーションは着いているけど、まだ近くに寄らないとわからない。金城さんと、一緒に見たいと思った。
駅前の公園で、ベンチに座りながら他愛もないことを話していた。いつも通り。いつもはもう帰る時間を過ぎていた。けど、わたしは知らないふりをした。

「おい、遠藤。時間…」

そう言われた瞬間、隣に座る金城さんの肩に、額をこつんとくっつけた。指は金城さんのコートをぎゅっと握っていて、顔は真っ赤だ。でもわたしはお構い無しに金城さんに告げた。

「まだ帰りたくない…」

そう言った刹那、後頭部に回した手でぐっと引き寄せられて、わたしたちは初めてのキスをした。何度も啄むように浅く、金城さんが私の唇を食んでいて、混じる吐息に目眩がする。リップ音が脳に響き、唇を吸われて、「んっ…」と変な声が出た。なんか股がキュンとなって、頭がぼーっとして、目は潤んでしまった。体がカッカして熱い。そんなわたしを、直視することなく、金城さんは抱き締めた。

「…好きだ。」
「わたしも、です…」

返事の後、見つめ合い、どちらともなく長いキスをした。
誰かに見られたっていい。幸せすぎて瞳に涙が溜まったが、金城さんの指が優しく拭ってくれて、こぼれ落ちることは無かった。

そんな私たちを、見つめる影に気づかずに、2人は抱き合い、その身に愛を確かめ合った。

続く
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