第11章 【金城剛士】I FOR YOU…3【KoC】
「みんなで集まって何してるの?たのしそうだね。俺もまぜてよ。」
皆の視線が集まる。
「倫毘沙くん。」
倫毘沙くんは冷たい笑みを浮かべながら、私が座るベンチの後ろにきた。そしてわたしが零した言葉を掬うように、私の顎を持ち上げて、頬にキスをした。
「やっ。」
「ゆかり、話は聞いたよ。やんちゃなプリンセスだね…はやく俺のお嫁さんになっちゃえばいいのに…でも、ゆかりが寄り道したいっていうなら、俺はそれを許容するよ。なぜなら俺はゆかりの将来の伴侶だから」
わたしは倫毘沙くんの手を払い除けて、立ち上がって彼を睨んだ。
「倫毘沙くん。わたしは金城さんが好き!だから倫毘沙くんのお嫁さんにはならない」
倫毘沙くんは自信満々なそぶりで腕を組み目を閉じた。
「どうかな。今日のところは退散しよう。俺たちはおじゃま虫みたいだからね」
剛士くんは私を後ろにやって倫毘沙くんを睨んでいる。
「またね、獅子堂のヘッドくん」
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なんとなく気まずい空気を和南お兄ちゃんが破った。
「…母さんとの約束だから、剛士が家まで来るなら3人で帰ることになるけど。」
「いや、今日は直接謝りに来た。それだけだ。例のやつらの、根っこを潰さないといけねえ、北門も同じこと考えてんだろ」
「わかった。」
「金城さん。きをつけて。」
「おう。」
やっぱり、金城さんはかっこいい。
見惚れるわたしに和南お兄ちゃんが小さくため息をついた。
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結局みつけたアジトに2校が攻め込んで、壊滅。
賑わっていたそこに残ったのは、生粋の甘党、2人。
「今日トモ機嫌悪かったなー」
「ごうちんは静かで怖かったぁ。」
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「それがさ、鳳凰の生徒会長と、獅子堂のヘッドが、一人の女の子を奪い合いしてるんだって。」
「えー?!マジ?どんな絶世の美女だよ。」
「私も奪われたーい!!」
噂は大きくなりながら広がり続ける。
関係ないフリをして今日も平和に過ごす。
わたしは放課後にカレシとデートする、普通の女子高生。
今日も校門前で、彼と待ち合わせだ。
「ゆかり。おかえり」
「剛士くん。今日もお迎えありがとう」
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END