第1章 恋祭り【愛染健十】
「ゆかり。あいつとまだ付き合ってるの。」
唐突に健十くんが話し出した。
「まだって。うん。仲良しだよ。」
「ふーん。そう。」
健十くんは、私の彼氏が嫌いだ。
もう3年ほど前になるけど、専門学校で知り合った彼と恋仲になり、同じ会社の違う店舗ではたらいている。
私と彼は整体師で、彼は超売れっ子だ。特に女性からの人気がすごくて、予約は3ヶ月待ち。将来は自分で店を開くと言って、仕事を頑張る姿を尊敬している。
でも、依与吏くんは、女性を1人に絞れなくて、色んな人と平行で関係を持っている。私は3年付き合ってていちばん長いし、季節のイベントとかは私と過してくれるから本命だと思っている。でも不安な気持ちになることは多々ある。
健十くんは小さい頃からわたしのお兄ちゃんだから、私をほっとけないんだ。
「心配してくれてありがとう。」
「別に。ゆかりが幸せならいいんだ。」
優しい健十くんの肩におでこをつける。
健十くんは背中を2回、叩いてくれた。
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「あ。あっ、あん。」
「ゆかり、イくぞ。」
びゅっ、とナカに出される感覚。
依与吏くんが飲んで欲しいからとピルを飲んでいて、エッチはいつも生。
「お前を愛してる。」
「うん…、依与吏くん、嬉しい。大好き。」
エッチのときでしか読んでくれない名前。言ってくれない愛の言葉。
それでも彼が大好きで、この瞬間が幸せ。
健十くん、ごめんね…
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「また仕事の早上がりの時間できたら連絡するよ。」
「うん、わかった。お仕事頑張ってね。」
ホテルで別れを告げられ、忙しい依与吏くんは先に去っていった。
わたしも仕事と祭りの準備で暇なわけじゃないけど、彼が大好きだからこうして時間を作ってる。
私から連絡してもなかなか会えないけど、依与吏くんの連絡が来た時必ずあえるように努力してる。