第1章 恋祭り【愛染健十】
「健十くん。一年ぶり。」
「や、ゆかり。また胸育った?」
「もう!セクハラ。」
幼なじみの健十くん。
おじいちゃん同士が同級生で、昔からよく遊んだ。
最近胸が育ちすぎていることをよくからかってくる。
わたしだって、減らせたら減らしたいのに。太って見えるし。
健十くんはいまアイドルのB-projectに所属していて、THRIVEというグループで活動している。
去年の年末は初ドームライブを成功に収め、人気上昇中だ。
わたしと健十くんのおじいちゃんは祭りの中心組織にいて、家族は毎年祭りの準備を手伝っている。健十くんも例外ではない。
「今年ももうこんな時期か。1年があっという間。」
「健十くん、どんどんテレビに出るようになって、すごいね、ずっと見てたよ。」
ニコッと笑って話すと、健十くんも目じりをさげる。
「ゆかりが応援してくれてるおかげ。」
「もーっ、調子いいんだから。」
「ホントなんだけどな。」
「?」
何かを呟いてそっぽを向いて前髪を弄り出した健十くん。
いまは健十くんのおじいちゃんの家にうちのじじ(おじいちゃん)と来ている。
「お前たち、変わらず仲良しだな。いいことだ。」
「じじ!美味しそうなマンゴー、ありがとう。」
「頂きます。」
健十くんもフルーツは大好きだ。
昔から好きだけど、最近はお肌にいいって気を使ってるらしい。
「田舎は食べ物が美味い。」
「うふふ。美味しそうに食べるね。」
健十くんは美人だ。そう言うと怒るけど。ずっとみていられる。
健十くんが、幼なじみでよかった。これからもずっと仲良しでいたいな。