第3章 カフェラテ【阿修悠太】
恵比寿で勤務しているとはいえ、ガーデンプレイスでデートなんてしたことの無い私は、景色のいいお店でランチをすることや、恋人だらけの土曜のガーデンプレイスに、最初めちゃくちゃ緊張していた。
でも、今日初めて会話したとは思えないくらい、悠太くんと気があって、とても楽しい時間を過ごせた。あっという間に暗くなり、キラキラと輝くイルミネーションを背に、別れの時間となった。
「今日はとても楽しかった。ありがとう。」
悠太くんの目じりが下がる。寂しそうな顔。心がキュンとなった。
「こちらこそ!また連絡してもいいかなぁ?」
「もちろん!また一緒にカフェラテ飲もう。」
悠太くんに別れを告げ、ずっと繋いでいた手を離し、駅へ向かった。悠太くんはさすがに駅には来れないみたいで、タクシーで自分の家に帰っていった。
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翌日。
悠太くんがいない平日の朝。いつもの小ぢんまりしたカフェがなんだか寂しく思えて、早々に出勤した。
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一週間後。
会社の飲み会があって、恵比寿ガーデンプレイスまで来た。
一週間前の夢のような時間を思い出して、少し寂しくなった。
「なーに。遠藤さん。浮かない顔しちゃって、失恋?」
「いえ、そういう訳では。」
「今日はガンガン飲むわよー!付き合いなさいよ。」
「はい……」
めちゃくちゃ飲まされて、お酒に強い私でもフラフラになった。
帰り道、すぐ電車に乗るのはきつかったので、公園のベンチで休憩していると、酔っ払いにナンパされた。
「大丈夫ー?赤い顔しちゃって。って俺らもかwww」
「酔っ払い同士、一緒に休憩いこーよー。」
「もう帰るので。失礼します。」
しつこいナンパに嫌気がさして、酔いが冷めたと思って立ち上がったら、よろけてしまった。
「ほら、危ないじゃん。手ぇ繋いであげるよ。」
「来ないで。」
キッ!と睨むが、相手には通じていない。
手を取られそうになった所を、後ろからふわっと包まれた。
「ごっめーん。待った?」
「悠太くん……」
なんでここに?
そんな目で悠太くんを見ると、笑ってるけど目が笑ってない。
こんな冷徹な瞳もするんだ…
「な、なんだ、男連れかよ…」
「失礼しましたーw」
男たちが退散したあと、悠太くんははぁ〜っと大きなため息をついて、より一層力強くわたしを抱きしめた。