第3章 カフェラテ【阿修悠太】
「とりあえず、座ろ座ろ。」
阿修くんに促されてソファ席に腰掛けた。
阿修くんが目の前に座っている。い、イケメン……
「どうしたの?緊張してるの?僕の方が年下なのに、おっかしいな〜」
初対面で大人をからかうコミュ力が強い……
「名前教えてよ。連絡先交換しよ?」
「はい……」
めっっちゃグイグイ来られてるけどこれ事務所的に大丈夫なの?
「ゆかりちゃんか。思った通り、カワイイ名前だね〜。」
すっごいニコニコしてる。軟派〜〜。
「阿修くんはテレビでみるそのままなんですね。」
「そうかも。僕いつもリラックスしてるし基本そのままだよ。」
ここで、はっと自分が仕事をしに恵比寿に来たことを思い出した。
「あの。お誘い嬉しいのですが、今日は休日出勤で、ランチまでにお仕事終わるかどうか…」
「そうなんだ?でも、お仕事中、ゆかりちゃんはお昼ご飯食べられないよね。僕、ここで待ってるから。終わったら出かけよ?」
「はい…わかりました…」
どうやら今日出かけることは決定事項らしい。
わたしも断る理由なくなってしまったし、急いで仕事を終わらせることにした。
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なんとか13時頃に仕事を終えて、カフェに行くと、阿修くんが先程のソファでうたた寝していた。
「お待たせしました…寝ちゃってる。」
芸能人の仕事って、いつも、大変だよね。やったこととかないけど、容易に想像できる。
なんとなく、目にかかった前髪を指でそっと除けると、阿修くんとバチッと目が合った。
と思ったら、手を引かれてソファに座る阿修くんにダイブしてしまっていた。
「わっ!あ、阿修くん…っ」
「あはは!びっくりした?」
至近距離でピンクの瞳に覗かれて、かあっと顔が熱くなった。
「こほん。」
「マスター、ごめーん。」
マスターの咳で我に返ってすぐ退けた。
「ゆかりちゃん!待ってたよ!ガーデンプレイス行こ。」
「はい。お待たせしました。阿修くん。」
「敬語なしなし!もっと仲良くなろっ。あと、悠太って呼んで。」
「う、うん。悠太くん。」
いつの間にか繋がれている手を引かれて、恵比寿ガーデンプレイスへと歩いた。