第1章 運命の番
Jside
人の迷惑を考えず、道を猛ダッシュすると何とか遅れずに職員室に着くことができた。
初日から遅刻なんて生徒に注意されるところだった。
俺が新しく勤める高等学校。
私立の育ちが良い奴が集まってるトコ。
校長からの情報によれば、職員にαは3名。
Ωは俺を含めて2名だそう。
また、生徒にはΩが20人で、そうウチ男が1名らしい。
俺がΩである事はΩの生徒と職員にしか伝えておらず、他言無用だ。
今回の募集人数は1人だったようで、以前挨拶に来た時は1人だった。
「あっ、前休暇で居なかった先生を紹介するよ」
そう言う校長はドアから顔を出して、櫻井先生!と呼んだ。
その声にハイっと返事が聞こえ、その声は先程聞いたことのある声だった。
失礼しますと言う声が聞こえて入って来たのは、先程俺を痴漢から救ってくれた先生だった。
「「あっ!」」
と俺らの声が重なって、校長のん?って声が聞こえて慌ててネクタイにあった視線を外した。
「櫻井先生。こちら新しく赴任する先生ね」
「はい。櫻井翔です。担当は現国で、今年は3ーAを担当します。よろしくお願いします」
「松本潤です。担当は英語です。よろしくお願いします!」
そう挨拶を交わし、握手をして目を合わせた。
「松本先生は櫻井先生と同じ、って!松本先生!どこ行くの?!」
俺は校長の声を無視して急いで職員室を出た。