第1章 運命の番
Jside
職員室に帰ってデスクに荷物を置く。
ふうっと息を吐いていると、声を掛けられた。
「一日目、おつかれぃ!」
「櫻井先生」
目を合わせないようにしながら言葉を返す。
俺の目線を合わせないことを気にも留めず、先生は話した。
「どうだった?うちの生徒は」
「なんか、めちゃくちゃ元気」
「んはは、それ分かるわぁ。めちゃくちゃ元気だよな。あいつら」
ニコニコ笑いながら櫻井先生は言った。
俺も慣れるまで大変だった~って思い出すように視線を上にした。
「でもなんか凄い雰囲気いいよね。みんな仲良さそうだし、元気だし。俺が前持ってた生徒とは大違い」
「二年の時からだよ。めちゃくちゃ雰囲気良い。いじめもなさそうだし、卒業できなさそうなやつもいないから。前の学校の奴ら酷かったの?」
「ふふ、大荒れ。先生にも生徒にも容赦なしみたいな。まあ、俺が舐められてたんだろうけど」
櫻井先生は俺の隣にいて、目は合わせていないけど、俺の方を見ているのが分かる。
悪いとは思いつつも、先生からいい匂いがするから離れて欲しいとも思う。
それからしばらく話して、就業時間まで授業準備とかと言われて頷いた。
俺はどうやら部活動の副顧問もあるらしく、前の学校じゃやんなかったなと考えた。
「櫻井先生とは違う部活?」
「そうそう。大会とかで二人抜けたら困るでしょ。だからだよ。俺はね天文部」
「天文部。。。なんか意外」
「スポーツしてそう?」
「うん。サッカー部とかしてそう」
程よく筋肉が付いた身体はスポーツをしていそうだ。
なぜかサッカーしている姿が浮かんでそう答えた。
「あー学生時代やってたよ。エース」
「めっちゃ似合いそう。今もしてるの?」
「たまにフットサルしてる。そういうあなたはなにかしてたの?」
「ううん。なんもしてなかった。天文部って星とか観察するの?」
高校の時は部活とかできなかった。
Ωだったから。
汗と一緒にフェロモンが出るんだろか、体育も気を付けてた。
密閉空間で万が一、ヒートを起こしたら俺も相手も不幸にするから。
でも生徒を通して夢を見ることはよくないかもしれないけど、しちゃいそう。
気を付けようと心に誓った。
「そうだね。流星群も見たよ」
「うわぁ~俺も見てみたい」
「ハハ、じゃあ今度見せてあげる」
それに楽しみにしてると返した。