第1章 運命の番
Jside
「助けていただいて、ありがとうございました!」
「ああ、でも結局怖い思いさせちゃって」
頭を下げるとそう優しく言ってくれる。
「いえ、あなたが助けてくれなかったらもっと酷い目にあっていたので」
「。。。じゃあどういたしまして」
時間が気になるのか、しきりに階段を見ているけれど、お礼がしたい。
「あの。お礼をしたいんですけど、連絡先とかいただけませんか?」
「あー、お礼なんかいりませんよ」
「でも、」
「あなたが無事だったことが、お礼です。あと、乗って近くに行くなら男性じゃなくて、女性のほうがいいですよ。女性のほうが声を上げてくれますから」
そう言った男性は頭を下げると、小走りで階段に行った。
男性は時間を気にしていたみたいで、1度も目が合わなかったけど、カッコよくて優しいのは分かった。
ホッとしていると、ふと目に入った電波時計は8時30分を示していた。
「っあ!やっべ!!!」