第1章 運命の番
Jside
「キミ、そういうプレイが好きなの?」
腕が引かれたから、体制が崩れてその時耳元でそう囁かれた。
「ちが、ちがう」
必死に首を振り、否定する。
ふぅーん、と声が聞こえて元の体制に戻された。
何だったんだと、辺りを見回すと痴漢の目の前に顔立ちの良い男性が立っていた。
「強姦は懲役3年にあたりますよ。未遂でも1年です。もし、彼がΩなら2年ずつ延びますよ。あと、退職金もパーで社会復帰したとしたもまともなとこじゃ働けません。おたくら2人とも見たところ50そこらでしょ?男、犯すために30年無駄にするんですか?」
「はあ?あんた何だよ。コイツはこんなプレイが好きなんだよ。邪魔すんじゃねえ」
「ふっ、折角あんたらが逃げれる道、用意してやったてのに」
大体、電車の中で言わなかっただけ感謝しろよ、とかブツブツ言いながらその男性はスマホをいじり始めた。
「はい。これ。この表情が好き好んでやってるやつの表情ですか?それに、この音声のように違うとハッキリ言っている」
男性が見せたのは痴漢された映像と、さっきの否定の音声だった。
「はん、そんなもん証拠になるかよ」
「はあ。めんどくせえ」
するとまた暫くスマホの画面をタップし始めた。
その間に俺の発情は大分マシになってきて、抑制剤を飲んだ。
「これ、ネットに投稿されたくなかったら、彼に二度と痴漢、わいせつ行為しないでね。後世建設営業部、真田真司さんと佐藤優樹さん」
「なっ、なんで、名前知ってんだよ!」
「ふは、面倒臭いからってバッチと社員証、首に掛けっぱなし辞めた方がいいよ」
「。。。くそっ。佐藤、もう行くぞ!」
そう言って、俺をほおり投げて痴漢2人は逃げて行った。