第1章 運命の番
Jside
今日は着任式で、恐らく大量の人の目に晒される。
まだ高校生だからって油断してはならない。
フェロモンが強い奴はいるし、ラットがおこっている奴がいるかもしれない。
高校生のオメガは中退率が高い。
理由はそれぞれだろうが、主に性被害だ。
俺はそいつらを助けるために教師になった。
思春期の少年少女はそういったことを言えない場合が多いから、俺が少しでも助けになれたらと思う。
まあ、生徒より教師の方が問題か。
立場を使って、刃向かえないオメガにわいせつ行為をはたらいた奴は数多くいる。
俺はありがたいことに、そんなクズには会ったことが無い。
ボケッとしている内に俺の尻には汚らしい手が当てられいる。
なんでわかるんだろうか?
この重装備が返ってばれやすくしているのか、それかただの変態か。
まあとにかく早めの対応が大切だ。
ガッツリ触られたらΩの本能が理性を蝕んでしまう。
「すいません」
そう言いながら人込みを掻き分け、The体育会系の人たちに近くに移動した。
いざとなればこの人たちが助けてくれる。
そして多くの痴漢がこのタイプの人の近くにいれば諦めてくれる。
このタイプの人たちは声を上げて痴漢を注意してくれる。
何度かこのグループの人には助けられた。
「つあっ」
くっそ、この痴漢まだ諦めてなかったのか。
今度はガッツリ尻を揉んできた痴漢に目の前の男性の服を引っ張った。
「ごめんなさ、」
振り向いてくれたその人に小声で謝りながら、後ろに視線を飛ばす。
すると俺の状況を把握してくれ、俺の目を見た。
助けてくれる、そう思った瞬間、その男性はニヤーっと唇を吊り上げた。