第1章 運命の番
Jside
「はあーーー」
「ククッ、お疲れ様」
「は?なんで笑ってんの」
式が終わり、両膝に手をついて詰まっていた息を吐きだす。
そうしていると櫻井先生の笑い声が後ろから聞こえた。
「懐かしくて。。。ほら、さっさと教室戻るよ。改めて自己紹介してもらうから、内容考えててね」
「。。。はい」
ケラケラ笑う櫻井先生に付いて行って、クラスに戻った。
「はーい静かに。松本先生から自己紹介。終わったらお前らもだからなー」
「えーーやだあ!」
生徒と掛け合う姿を見て、仲いいななんて思いながら教壇に立った。
生徒の顔がよく見える。
あーあいつαだな。
Ωじゃなくてαが居たんだった。
あ、スマホ弄ってる。
あくびしてる。
やっぱり後ろの席の方がよく見えるな。
そんなどうでもいいことを思いながら口を開いた。
「えー、改めまして。松本潤と言います。以前は公立の高校で働いていました。英語Cを担当します。多分、君たちを教えるので、出来るだけ分かりやすく授業をしようと思っています。分からないことばかりなので、色々教えて欲しいです。よろしくお願いします!」
考えてきた言葉を言って頭を下げる。
すると生徒から拍手が聞こえ、頭を上げた。
そして壁に凭れて俺を見ていた櫻井先生を見ると、生徒から見えない方の口を上げた。
「ほら、お前ら質問あったら投げていいぞ!」
なっ!
想定外の質問なんて聞いてない。
リハしてないのは無理だって。
断ろうとしたが、一歩遅かった。
もう既に前の席の女の子が手を上げていた。
「はい、佐藤」
先生の声でその子が口を開く。
「松本先生、何歳?」
「に、24です」
「わっか!櫻井先生より若いじゃん」
「前ってことは2年で辞めたんですか?」
「あー、えっと、それは、1年契約だったから、自動的に、次の年がないっていうか」
期限付きは本当だけど、辞めた理由はそれじゃない。
3年契約だったから。
理由は別にある。
たった1年半で辞めた理由は。
それは言わずに適当に誤魔化した。
へーってその子は言って、別の子が声を上げる。