第1章 運命の番
Jside
この学校のシステムで唯一不思議なことがある。
Ωの他言無用だ。
だってオメガはヒートのせいで3ヶ月に一度は休みを取る。
だからどうやってもバレてしまうのに何故か他言無用だ。
まあ、オメガということをバラして性被害を増加させたなんて言われたくないから何だろうけど。
あっ、こんなこと考えている暇はない。
保健室から校長室に直行する。
「突然出て行って申し訳ありませんでした」
「ああ、大丈夫だよ。でもどうした?元カレ?」
「なっ、違いますよ。さっき、何故か発情してしまって」
「えっ?松本先生の周期はもっとあとだろう?」
「はい、そうなんですけど。もしかして櫻井先生ラット起こってたりします?」
校長先生はβだから、Ωの匂いもαのフェロモンもどっちもわかる。
だから、聞いたのだがいや起こってないよ、と帰ってきた。
「じゃあなんで」
「櫻井先生は他のαよりフェロモンが強くてね、松本先生もだろう?だからお互い触発し合ったのかもね。櫻井先生も松本先生が出ていってから、少し強くなったから、あまり近づかないほうが今日はいいかも」
「分かりました。気をつけます。で、あの、先程言おうとしていたことは何だったんですか?」
もう用事はないよとデスクに向き直った校長に声をかける。
すると、ハッとしてそうそう!と言ってきた。
「松本先生には3-Aの副担任をしてもらいます」
「えっ?」
この校長、さっき近づかないほうがって言ってたろ。
まあ、分かってなかったから仕方ない部分もあるけど、匂いが強いことは言ってたじゃん。
なんて強い同士のαとΩを同じクラスに入れるんだよ。
バカかよ。
「あとのことは櫻井先生から教えてもらってね」
そう言われて俺は校長室から退出させられた。