第1章 運命の番
Jside
はあ、どうしたんだろう。
ヒートの周期はもっと後なのに突然発情しちゃった。
職員にラット起こしてる人がいたのかな?
そらならまずいな、今、薬全く持ってないのに。
色々考えた挙句、俺は保健室に足を運んだ。
この高校の保健医は女のΩだと校長から聞いた。
もしかすると多めに抑制剤を持っているかもしれない。
今日、病院行って薬返さなきゃ。
「失礼しまーす」
「はい。あ、松本先生どうしました?」
「あの、抑制剤あります?」
「ありはしますけど、薬の副作用が眠気のしか。それと多用を防ぐため理由を」
「抑制剤、朝の痴漢で無くなってしまって。あとさっき突然ヒートかって位に発情して」
養護教諭の伊藤先生は凄く綺麗な見た目をしていて、首には番の後があった。
抑制剤を金庫から取り出して渡してくれる。
「それは災難だったわね、怪我とかしてない?」
「はい。櫻井先生が助けてくれたので」
「えっ?!」
抑制剤をカバンに押し込みながら、そう言うと伊藤先生は酷く驚いた声を出した。
「櫻井先生が?オメガのあなたを?」
「はい、オメガだとは気づいてなかったみたいなんてすけど」
「それでも襲われそうになってるあなたを見て、助けたの?」
その質問にはい、と答えると、先生は信じられないと声を出した。
「なんでですか?」
「ああ、ごめんなさい。それは私からは話せないわ。でも櫻井先生が助けることはまず無いわ。それだけは言っておくわ」
そうなんですね、と返して頭を下げる。
「明日代金持ってきます」
「いいわよ。学校のお金で買うんですから」
「そうなんだ。分かりました。。。あの、最後に1ついいですか?」
「ええ」
「番になれて幸せですか?」
「あっ、ええ、まあ。幸せよ」
照れくさそうに笑う先生を見て俺も幸せな気持ちになって、ニコッと笑い返して、保健室を出た。
ふふ、俺もあんなこと言える番を見つけたいなぁ。