第1章 運命の番
Nside
「カズ、ごめん俺」
「うん、もう大丈夫だよ」
真っ赤な顔をして言う相葉さんは相当辛いんだろう。
他のオメガの時はここまで無かったから、多分この人のフェロモンが強いのだろう。
暫くするとその人の呼吸が安定してくる。
顔の赤みも取れてきて身体を離して目を合わせた。
「発情収まりました?」
「んぁ、はい、ごめんなさいありがとうございます」
まだ目はとろんとしているがあと5分もしたら安定するだろう。
「ヒートですか?それならちゃんと休み取れるんじゃ」
「ヒートはもっと後です。さっき突然発情しちゃって、訳わかんなくて。薬は朝から使っちゃって、本当にありがとう。助かりました」
「いえいえ、困ってる時はお互い様ですから。それに発情はどうにも出来ませんからね。あの、もしかして今年新しく来るっていうΩの先生ですか?」
「あ、そうです」
「僕、ここの高校の生徒です。2年の二宮です」
「俺は新しく赴任してきた松本と申します。もし何かあったら相談してね。。。ふふ、初日からこんななってる奴じゃ心配か」
そう自虐の笑みを浮かべた先生は本当に綺麗でさぞかしモテるだろうなって思った。
「いえいえ、なにかあったらその時はお願いしますね」
ニコッと笑うと勿論って爽やかな笑みが返ってきた。
「ニノー?急がないと遅れちゃうよ」
ヒョコっと俺をみた相葉さんはもう落ち着いていて、それにほっとしてスマホを見た。
すると集合時間の5分前で慌てて立ち上がる。
「すいません、もう行きます」
そう言って校舎に走ると後ろから声が聞こえる。
「あっ、こっちこそごめんなさい。それと、抑制剤、明日返すね」
「はい!」
松本先生に叫ぶように返事をして急いで新しい教室に入った。