第1章 ファンド学園の学園祭
「大半が僕に料理が出来るのか?って顔してますね。
おやつに取っておいた物が丁度在るからそれを食べてから判断してくれ」
そう言って僕は空間魔法からクッキーを取り出す。
バスケットに盛られた色んな形のクッキーを見て、みんなの表情は煌めいている。
一人ひとりに渡り、クッキーを食すと全員が驚いた表情をする。
「「うっま!?」」
「嘘やん!? 何この旨さ!?」
「しかも一つ一つが違う味だし!」
「やべぇ! 旨すぎる」
全員の呟きに満足した僕は言う。
「これなら文句ないだろ?」
その問いに全員が頷く。
「ラシルくん! このクッキーの作り方教えて!」
「俺にも教えてくれ!」
数人から教えを乞うされた僕は仕方なくレシピと実際にやりながら手解きする事となったのは言うまでもない。
「ラクィータくんの協力で喫茶に出す商品は大丈夫だな
後は……接客方だな」
ザルクはそう呟く。
「そこはオレに任せてくれ」
ヴィケオアの立候補にザルクは一瞬唖然とする。
「いいのか? ラシルやサナとは別の奴を相手するんだぞ?」
「執事に挙げられた時点で諦めてる。だからなったからには全力でやるだけだ」
「一番執事が似合ってるお前ならみんなも文句は言わないだろうな」
「それはお前もだぞ? ザルク」
「そうか?」
「その見た目で紳士の振る舞いをするお前に隠れファンがかなり居るって噂だぞ」
「ファンがって……別にモテてもな…(汗)」
「まぁ…あの兄貴が落ち着くまではお前の生活は安泰だろう」
「それは何故だ?」
「……あの兄貴が弟を簡単に手離すと?」