第1章 ファンド学園の学園祭
「……可愛いのに」ボソッ
ファラガの続きにラシルは喜んでいた。
(でもまだ正体を明かす訳にはいかないんだ。モルツ先輩と踊りたいけど…)
ラシルは内心で悩んでいた。
夜になって、講堂では仮想パーティーが開かれていた。
「ごめん。みんな…長い事抜けてしまって…」
謝るラシルにクラスのみんなは笑っていた。
「いいよ〜♪ モルツ先輩との仲を邪魔する訳にはいかないからねぇ〜♪」
ニヤニヤと笑うウェレアとサナ。
「2人共にそのニヤニヤを止めてください」
ラシルは睨み付けるが全く無意味。
「止・め・ろ」
ぎゅぅ〜…、「「ッ!? 痛い痛い!?」」
ヴィケオアが2人の耳をつねる。
「ラシル……今はお前のやりたい様にやれ。
これはオレから言える最小限の言葉だ」
「……ヴィケオア」
フッとヴィケオアは笑うと2人を連れて行く。
「やりたい様に…か」
ラシルはそう呟くと転移で何処かへ消える。
「……」
ファラガは仮面を着け、素のままパーティー様に仕立てられたタキシードを纏っている。
女子の大半がファラガをチラチラと見ているがその隣に生徒会長が居て、とても近付ける雰囲気ではなかったのだ。
「君が素で参加するなんて珍しいな」
「何でアンタがここに居るんだよ。慕っている生徒達と戯れてこいよ」
「そうしたいけど素で居る君を置いていく程僕は落ちぶれてはいない。
お前を任せても良い相手が来たら離れるさ」
「お前は俺の保護者かよ」
「ハハハ…。まぁ…ある方から頼まれてるからある意味そうかもね」