【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第155章 ◇第百五十四話◇始まりの場所で愛を誓う(上)【運命の決戦編】
調査兵団兵舎の上官会議室で連日続いた会議によって、ウォール・マリア奪還作戦の内容はほぼ固まりだしていた。
後は、壁外任務にてシガンシナ区までのルート拠点の設置や、奪還のための肝となるエレンの硬質化の安定が必要になる。
さらに、ハンジさんが考案した、エレンの硬質化の力を利用した新たな武器の試作の許可も下りた。
人類にとって大きな一歩となるその日は、着々と近づいていた。
そんなある日、私は、リヴァイ兵長に連れられて旧調査兵団本部にやって来ていた。
昼過ぎに研究所で試作品のチェックをしているところに突然やってきて、そのまま何の説明もないまま、リヴァイ兵長の愛馬に乗せられていた。
旧調査兵団本部に辿り着いた頃には、空は赤を通り越して藍色に変わっていた。
「リヴァイ兵長が最初に調査兵団に入ったときは、
ここが今の兵舎みたいな感じだったんですよね?」
大きな扉を押して入っていくリヴァイ兵長の後ろに続いて、私も中に入った。
ここにやってきた意味は分からなかった私だったけれど、リヴァイ兵長とふたりきりだということだけで嬉しかった。
攫われていく私にハンジさんも驚いてはいたけれど、特に止もしなかったし、許可を貰ったということなら、せっかくの2人きりを思い切り味わうだけだ。
「あぁ。俺とファーランの部屋はその奥だった。
イザベルだけは、別棟で駄々こねてたがな。」
階段を上ると、個室が並ぶフロアに辿り着いた。
私とルルの部屋は、リヴァイ兵長が指さしたのと反対廊下の奥だった。
ここは、私にとっても、リヴァイ兵長にとっても、大切な人達の想い出の残る悲しくて大切な場所なのだと改めて実感する。
だって、聞こえてくるし、見える気がするのだ。
ここで生活していたときのルルの姿がー。
世界の残酷さの本当の意味を理解しないまま、無邪気に笑っていられた私の姿がー。
もしかすると、私とは反対の廊下を見たまま立ち止まっているリヴァイ兵長にも、見えているのかもしれない。
あの頃の自分に話しかける大切な友人達の姿がー。