【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第155章 ◇第百五十四話◇始まりの場所で愛を誓う(上)【運命の決戦編】
「さぁ、行くぞ。」
リヴァイ兵長に手を引かれ、さらに階段を上がる。
城内の階段をいくつか上った後は、薄暗い廊下をさらに奥へ奥へと進んだ。
そして、誰も使わないような部屋に入った後、リヴァイ兵長が私を連れて出たのは、バルコニーだった。
広いとも狭いとも言えないそこは、真上に輝く月に照らされてとても明るかった。
城の中でも高い場所にあるバルコニーであることと、この城が壁から離れた場所にあるおかげで、遮るものがないことで一気に開けた視界は、私の瞳を輝かせた。
「わぁ…!リヴァイ兵長っ!見てくださいっ!この星空ぜんぶ、私達のもみたいっ!」
バルコニーの低い塀になっている城壁に飛び乗り、私はリヴァイ兵長を振り返った。
そして、息を呑んだ。
リヴァイ兵長は、跪いて私を見上げていた。
真っすぐに伸ばされた手のひらの上には、小さな箱が乗っていた。
それが何か、その中には何が入っているのか。
そして今のこのシチュエーションが、何を意味するのか。
それが分からないほど、私は子供ではない。
それでも、頭では状況を理解したつもりになっていても、心が追いつかなかった。
振り返ったままの格好でかたまる私に、リヴァイ兵長は告げる。
「俺は必ず、ウォール・マリアを奪還して、巨人を全て駆逐する。
その後に、俺が欲しいのはの未来だけだ。
お前を誰よりも幸せにすると誓う。俺と結婚してくれ、。」
リヴァイ兵長が箱の蓋を上げて開いた。
月灯りに照らされて、指輪に乗せられた宝石がキラキラと輝く。
それが眩しいせいなのか、視界がユラユラ揺れてよく見えない。
心は追いつかないどころか、今この瞬間を誰よりも喜んでいたらしい。
返事の言葉を言いたいのに、感動で喉が詰まってうまく声が出ない。
涙を流したままで、低い塀からゆっくり降りた。
そして、真っすぐに私に伸びる手におずおずと触れる。
握りしめられた私の手は強く引かれ、落ちていった身体はリヴァイ兵長に抱き留められた。