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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第152章 ◇第百五十一話◇未来を憂う月【女型の巨人編】


明日も朝から会議のあるリヴァイ兵長だったけれど、今夜は両親の誘いに甘えて泊っていくことになった。
夕飯の後、私とリヴァイ兵長は夜の散歩に出かけた。
このあたりは被害がなかったおかげで、以前来たときと景色は何も変わっていない。
広い芝生の上にふたりで並んで仰向けに横になれば、綺麗な丸い月が私達を見下ろしていた。
淡い月明かりは、相変わらず優しく、傷ついた街を照らし続けている。
月を見上げながら、私はリヴァイ兵長に話しかける。

「ねぇ、リヴァイ兵長。」
「ん?」
「喧嘩を吹っかけてもいいですか。」
「あぁ、恋人様のお好きなように。」

リヴァイ兵長の声が、面白そうな声色に変わった。
恋人から喧嘩を吹っかけられる前に、楽しいと思えるのなんてこの人くらいだ。
それが、私はすごく嬉しかった。
とても強い絆が、そこにある気がしてー。

「私のためなんて勝手に決めて手を放した挙句、人類の希望のエレンを命懸けで助けたり
 超超超大型巨人倒そうとしたり、必ず迎えに行くって言った恋人をほったらかして
 人類のために獣の巨人と戦ったり、カッコ良すぎですっ!」

上半身だけ起こした身体を芝生に置いた両手で支えながら、リヴァイ兵長の顔を覗き込む。
怒ったような私の顔と台詞、どっちにかは分からないけれど、リヴァイ兵長は驚いたように目を見開いた後、スッと優しく細めた。

「あぁ、悪かったな。心配ばかりさせた。」

リヴァイ兵長の手が、私の頬に触れる。
夜風に冷えた私の頬にはとても温かくて、気持ちがいい。

「じゃあ、仲直りしましょう。」
「あぁ、それがいい。喧嘩の後は、早急に仲直りが必要だ。」

リヴァイ兵長はまた真面目な顔で冗談を言う。
どうせ、喧嘩しているつもりなんてこれっぽっちもないくせにー。
私だってこれは、ただの口実なのだけれどー。
だって、本当はすごく寂しかった。不安だった。
会いたくて会いたくて、でも、迎えには来てくれなかった。
言いたいことなんて山ほどあったはずなのに、顔を見たら嬉しくて愛おしくて、すっかり忘れてしまった。
そして、残った言葉はもうひとつしかない。

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