【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第152章 ◇第百五十一話◇未来を憂う月【女型の巨人編】
鎧の巨人と降って来た巨人によって大損害を受けたストヘス区だったが、幸いと言っていいのか、民間人に犠牲はなかった。
なんとか無事に残っていた憲兵団施設の会議室では、各兵団の幹部が集まり、今回の被害の確認と今後についての話し合いが始まっていた。
そして、アニはまた、地下の部屋に幽閉された。
アルミンに案内されて、私は初めて、透明の石で包まれているアニときちんと再会することが出来た。
聞いていた通り、硬質の石で覆われていて、鎧の巨人の口から落ちたときも割れることはなかった。
破れたドレスの裾を気にしながら、アニと向き合って床に腰を降ろす。
アルミンもその隣に座り、一緒に、何も語ってはくれないアニを見上げる。
「きっとアニもベルトルト達と一緒に故郷に帰りたかったよね。」
「…そうかもしれないですけど、連れて行かせるわけにはいきません。」
「ごめんね。私が兵士としてもっとちゃんとしてたら、
逃げられることもなかったかもしれないのに…。」
膝を抱えて顔を伏せる。
あのとき、私は確実にライナーを追い詰めていた。
なんとか動けるようになったエレンの巨人化の力も借りて、うなじに隠れていたライナーを引きずり出すことにも成功した。
ベルトルトもジャンとコニーが拘束してくれていた。
それなのに、私はまだ、2人を信じたくて、生きたままアニと再会してほしくてー。
『、お前が何を言ってももう元には戻れない。
俺達が何人殺したと思ってる。もう手遅れなんだ。』
『そうだよ!僕達の手はもう汚れたんだ…!』
『確かに亡くなった命はもう戻らない。あなた達の手は血まみれかもしれない。
でも、一度汚れてしまったら、その手はもう誰かを傷つけることしか出来なくなるの?
違うでしょう?あなた達がその手を伸ばしてくれるなら、私は掴むよ。信じて。』
なんとか分かってもらいたかった。
リヴァイ兵長にはまた怒られてしまうかもしれない。
それでも、やっぱり、人類の未来に必要なのは、憎い敵を殺すことだとはどうしても思えなくてー。