【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第152章 ◇第百五十一話◇未来を憂う月【女型の巨人編】
そんな私に苛立った憲兵がライナーを殺そうと超硬質スチールを振り下ろそうとしたとき、巨人化したユミルがライナーを助けた。
そして、ベルトルトと共に咥えて逃げて行ってしまった。
ユミルは最後、ヒストリアに謝ったそうだ。
それは、彼らの味方につくことに決めたことだろうか。他にもなにか理由があったのか。
ヒストリアも分からないと言っていた。
「そもそもさんがいなかったら、アニは連れて行かれてました。
だから、エルヴィン団長達も今回は目的も達成したし大丈夫だって言ってましたし。
って言っても、そういうことじゃないんですよね。」
「私って、なんでいつもこうなんだろう…。」
ため息を吐く。
人類のために心臓を捧げた兵士のはずなのに、私はいつも私のやり方でやってしまう。
そして、結局、何も生まれないー。
「アニから伝言預かってるんです。」
不意に、アルミンが話を変えた。
そして、ストヘス区での女型の巨人捕獲作戦の時、地下に連れて行く前にアニと交わした会話を教えてくれた。
『あたしを見つけてくれて、ありがとう。
世界で一番、大嫌いだ。
だから、せいぜい幸せになりなよ。なかなかお似合いだったよ。』
アルミンの声に乗せて、アニの素っ気ない顔が頭に浮かんだ。
どうしてアニはいつもそうなのだろう。
そんなこと、ちゃんと私に言って欲しい。
そしたら、私はちゃんと言うのに。
心配しないで、私はアニのこと大好きだよって、ちゃんと言うのにー。
「アニ…っ。」
膝を抱えて、私は泣いた。
この世界の残酷さの真ん中に、アニはいるような気がした。
そこから助け出すチャンスが、私にはあったはずだった。
「さんは、これからもずっとアニが好きなさんのままでいればいいと思います。
そしたら、アニが目を覚ましたとき、アニはひとりぼっちじゃないから。」
アルミンが言ったそれは、いつか私がユミルに言った言葉に似ていた。
私が、私のままでいるだけで、アニがひとりにはならないのならー。
私はずっとこのままでいよう。
そして、もっと強くなって、いつか必ず世界を変える。
優しくて、美しい世界にー。