【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第145章 ◇第百四十四話◇囚われの身のお姫様【女型の巨人編】
仰向けに倒れた私の上に馬乗りになったルーカスが、噛みつくような目で私を見下ろす。
「強情な女だな。すぐにあの男より、俺の方がいいってことを思い出させてやるよ。」
「やめて…っ!」
ルーカスは、自分のシャツの胸元を雑に緩めながら言うと、私の首元に噛みついた。
自分の口を手の甲で塞ぎ、必死に声を堪える。
ドレスの裾から入ってきた手に太ももを撫でられて、脚をばたつかせて抵抗した。
「男と女の力の差を考えなよ。バカじゃないだろ。
あの男だって、こうなること分かってての手を放したんだ。
俺に抱かれてもいいって、許可が出たとは思わないのか。」
抵抗を止めない私に、ルーカスは苛立ちを隠さずに言う。
「私が抵抗することも分かってて、手を放したのよ。」
キッと睨み返す私の態度が余計に気に入らなかったルーカスが、強引に私のドレスの胸元を破ったとき、部屋の扉が開いた。
入ってきたのは、ルーカスの母親だった。
ルーカスは母親似らしく、少しきつい印象を受けるが、それを差し引いても目を見張るほどの美人だ。
年齢不詳で若々しく、豪華なドレスを身に纏い堂々と歩く姿はさながら女王様のようだった。
「部屋に入るときは、ノックくらいしてくれないかな。」
ルーカスはつまらなそうに言うと、馬乗りになっていた私の身体の上から降りて、ベッドの縁に腰を降ろす。
その隙に私も身体を起こし、破れたドレスの端をなんとか引っ張って、はだけた胸元を隠した。
「私の大切な息子をたぶらかして、本当に汚らわしい女ね。」
私の姿をチラリと見たルーカスの母親は、嫌悪感を隠しもせずに眉を歪めた。
まるで、私がルーカスを襲ったような言い方に腹が立ったが、何も言い返すことはしなかった。