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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第143章 ◇第百四十二話◇すくうために許し合えたら【女型の巨人編】


本当は逃げ出したい。
違う、本当は好きだと言いたい。愛してると言いたい。
別れたくないと、追い縋りたいー。
でも、面倒な女だと思われたくなくて、少しでも良い印象を残したくて、その結果、黙り込むしか出来ないなんてー。
視界の端で、リヴァイ兵長が立ちあがったのが見えた。
見慣れたブーツが、一歩、一歩、近づいてくる。
まるで、別れへのカウントダウンみたいー。
膝の上で握った拳を、私の前に膝をついて跪いたリヴァイ兵長の両手が包んだ。
ビクッとして震えた私の手を、少しキツく握って、リヴァイ兵長が口を開く。

「今から、喧嘩をしよう。」
「…え?」

顔を上げると、私の前で跪き見上げるリヴァイ兵長と目が合った。
何を言っているか分からない表情の私をじっと見つめて、リヴァイ兵長は続ける。

「俺達はこの関係を守ろうとするあまり溜めこみ過ぎた。それが今のこのザマだ。
 もううまくいってるフリは必要ねぇ。聞き分けのいいフリも見飽きたし、したくもねぇ。
 もし、お互いに、お互いを失いたくなくてそんなことしてんなら、今すぐやめよう。」

別れ話をされるとばかり思っていた私は、何と答えればいいか分からなかった。
でも、私の返事を待っている様子のリヴァイ兵長に、少し時間を置いてから訊ねる。

「…別れ話をするんじゃないんですか?」
「そっちの方がよかったのか?」

焦って首を横に振る。

「俺もだ。だから、が帰ってくんのを待ってた。
 もう一度言う。、今から喧嘩をしよう。」

私は、頷けなかった。
ただ、いきなり喧嘩をしようと言われて戸惑っている。
だからって、その意図が、分からないわけじゃない。

「俺は言うぞ。」
「…何ですか?」
「は無防備すぎる。他の男にすぐに触れさせるのが気に入らねぇ。
 命懸けの勝手な行動も、すぐに俺の目の届かねぇところに行くのも、
 挙句の果てには、俺より女型をとりやがった。クソ野郎が。」

リヴァイ兵長の口調は、冷静な指摘から、次第に苛立った棘のあるものに変わっていった。
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