• テキストサイズ

【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第143章 ◇第百四十二話◇すくうために許し合えたら【女型の巨人編】


あの後、ユミルはすぐに自室に戻ったけれど、私はずっと談話室に残っていた。
ただ単純に、部屋に戻るのが、怖かったからー。
別れ話をされたらー。
顔も見たくないと言われておきながら、今さら別れ話も何もないのかもしれない。
でも、決定的な言葉を聞くまではまだ恋人でいられるのなら、あともう少しだけー。
そんなことを思いながら窓の外を眺め続けていたけれど、もうそろそろ時計の針が日付をまたごうとしているのに気づいて、部屋に戻ることにした。
さすがにもう疲れた身体を眠らせたかったのと、リヴァイ兵長も寝室に戻っているだろうと思ったからだ。
明日も朝から会議や今回のことの報告もある。どんなにツラくても、仕事は休めない。
たとえば、明日は、別れ話をされるのだとしてもー。
ため息を吐いてから、私は部屋の扉を開けた。
そして、もう少し談話室にいればよかったと後悔した。
ソファに座って私を待っていたらしいリヴァイ兵長と目が合う。
どうしても今夜、別れ話からは逃げられないようだ。
疲れてるのにー。
心の準備も出来てないのにー。
そんなの私の自分勝手な都合だと分かっている。
リヴァイ兵長がもう無理だと思ったのなら、仕方がないのにー。
私は部屋に足を踏み入れると、後ろ手で扉を閉めた。

「話がある。」
「…はい。」

逃げられないと悟って、私はソファを避けてベッドの縁に腰を降ろした。
目が合った途端に別れ話をされる気がして、目を伏せて精一杯の抵抗をする。
足が震えて、うまく息が出来ない。
いやきっと、もう好きじゃないとか、別れたいと言われたら、膝から崩れ落ちるんだろう。
そんな未来まであと何秒だろうー。

「はいつも聞き分けがいいな。」
「え?」

思わず顔を上げて見れば、リヴァイ兵長は困ったように眉尻を下げていた。
それがひどく悲しそうで、私は胸が苦しくなった。

「そんなことは…、ないと思います。
 だから、勝手な行動をとって迷惑や心配をかけてしまいましたから。」
「そういうことじゃねーよ。今だって本当は、俺の話なんか聞きたくねぇんだろ?」
「それは…。」

違うと言えなくて、私は顔を伏せる。
/ 1058ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp